家中を快適な室温にしてくれる「全館空調システム」。メーカーによっては冷暖房だけでなく、空気清浄・除菌機能も備わっている機種もあり、需要の高さから導入数も年々増加しています。
一方で全館空調に関わる費用面について、イメージができず導入を悩む声も多く見受けられます。そこで今回は、全館空調の導入費用・電気代・メンテナンス費用の価格相場をご紹介します。
各メーカーの価格・特徴についても調査しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
- 全館空調の導入時の必要費用がわかり、ローンのシミュレーションに反映できる
- 生活を始めてからのランニングコストがイメージできる
- 各社の全館空調の特徴と価格順が比較できる
目次
全館空調の各項目ごとの価格相場
導入費用〜電気代、メンテナンス費、修繕代まで、各項目の相場をご紹介します。
①導入費用 100〜300万円ほど
価格帯レンジ | メーカー名 |
---|---|
230万~300万 |
|
130万~230万 |
|
130万円以下 |
|
※40坪程度の住宅面積を前提にした費用です。
※価格帯は各社のホームページなどWeb上で確認できたものだけを掲載しています。
調べてみると全館空調の導入費用は100〜300万円前後が相場のようです。導入費用は空調室の有無、制御システムや配管の複雑さなどによって差があります。 そのほか以下の付属機能が多いほど費用が高くなります。
全館空調の付属機能※メーカーにより異なる
- 除湿機能
- 加湿機能
- 空気清浄・脱臭機能
- 部屋毎の温度設定機能
- タイマー機能
など
それでは、エアコンを設置する場合の導入費用がどれくらいかかるのか40坪の住宅を例にみてみましょう。
間取り 4LDK
エアコン 5台
エアコン1台を5〜10万とした場合5台設置すると25〜50万円程。導入費用だけでみると全館空調の方がコストがかかりますが、以下のメリットを考えると妥当な費用といえます。
家づくりの豆知識 〜全館空調の設置費は住宅控除の対象に〜
全館空調は住宅建設に付帯する設備となるため、住宅ローンに含めることが出来ます。支払いを分割にすることが出来る、ということです。当然ながら住宅控除の対象にもなります(但し固定資産税の対象にもなります)。
建築後に個別冷暖房器具を購入するとそれは個人の買い物になるので住宅ローンには含まれません。
全館空調の導入費用を35年ローンに含める場合、月額3,700〜8,000円程度アップする計算になります。(※固定金利1%と仮定)
②電気代 月平均8,000〜15,000円ほど
全館空調の電気代は月平均8,000〜15,000円ほどといわれています。 あくまでも電気代は目安であり、家の広さ、住宅性能、使用環境によって電気代は変動します。
オール電化住宅の場合は、食洗機・浴室乾燥機・24時間換気・IHなどの電気代と一緒に合算されることが多く、月15,000〜16,000円ほどといわれています。
電気代は下記の方法で抑えることが可能です。
- 自家発電する「太陽光発電」や「エコキュート」などを導入する
- 省電力で家計にやさしい「ヒートポンプ式冷暖房」を導入する
また、全館空調だけでなくさまざまな冷暖房器具を快適に低コストで使うためには、お住まいの住宅が断熱性能・気密性能に優れている必要があります。
どんなにコストパフォーマンスに優れた空調システムでも、住宅の断熱性能が低いと外気の熱が外壁などから室内へ伝わりやすくなるため、空調が常時最大稼働し電気代が高くついてしまいます。
よくある全館空調の電気代に関するお悩み&アンサーを知りたい方は、こちらをご覧ください。
全館空調の電気代は高い?高いと思われる理由を検証
③メンテナンス・点検費用 1万円〜2.5万円
全館空調は本体が故障した場合、空調設備自体が使えなくなってしまうため定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス代は年間1万円〜2万円、フィルター交換1,500円〜5,000円程度が相場といわれています。
また、空調換気システム本体の耐用年数は10年程度といわれていて、耐用年数に合わせて10年保証を導入しているメーカーも多く存在します。
保証期間中は修理代金が無料ですが、期間を過ぎると修理代金が必要になる場合があります。メーカーによって保証期間が異なるので事前に確認することをおすすめします。
各メーカーの保証期間を知りたい方は、こちらをご覧ください。
【全館空調を徹底比較】各メーカーの比較すべきポイントを知ってライフスタイルに合った1台を見つけよう!④修繕代 40~50万円 当面はパーツの交換程度
大規模な修繕費用は40〜50万円といわれていますが、実際はパーツの劣化具合に応じて交換する程度がほとんどです。
また、メーカーの保証期間内であれば無償対応です。
他の住宅設備と同様に。耐用年数を過ぎると大規模な修繕が必要になる場合があることは念頭にいれておくとよいでしょう。
全館空調メーカー一覧(価格帯順)
ここまで全館空調にかかる主な費用をご紹介しました。
次に全館空調を扱っているメーカーを導入価格帯の低い順からまとめましたので、ぜひご参考になさってください。
※40坪程度の住宅面積を前提にした価格です。
※坪数、部屋数によって価格は異なります。
『ECO床暖システム』(〜130万円)
株式会社オンレイが提供する『ECO床暖』は、住宅の床下空間を活用した全館空調システムです。
冷暖房機能によって24時間365日快適に過ごせるシステムであることは他のメーカーと変わりありませんが、ECO床暖はそれに加えて床暖房機能もついています。施工時の大きな特徴として、必要なダクトが事前にカットされ現場に納品されるため、工事が簡単で、特殊施工員も不要なため、工事期間が短く施工費が安いというメリットがあります。
また、時間や曜日ごとに設定温度の予約ができるため節電対策も可能。
オプションとして、室内中を脱臭・除菌および強力な花粉を除去して空気を守る、除菌脱臭システム「イオンクラスター」を付けることもできます。
ヒノキヤグループ『Z空調』(〜130万円)
『Z空調』はヒノキヤグループ(桧家住宅、パパまるハウス、レスコハウス)が取り扱う全館空調システムです。
テレビCMでも大々的にアピールしているのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
エアコンの能力(馬力)を通常10KW以上使う全館空調が多い中、『Z空調』は5KW程度に抑えているため、一般的な全館空調システムと比較すると価格が安いといえます。
YUCACOシステム研究会『YUCACO』(〜130万円)
『YUCACO』は、空調室に配置したルームエアコン1台で家中の温度を調整するタイプの全館空調システムです。
断熱・気密性を高めることでエネルギーの損失を極力下げて、エアコン1台の能力でも十分に家中冷暖房が出来るようにしているため、家電量販店でも販売しているルームエアコンを1台設置します。(坪数の大きな住宅は2台になる場合もあります。)
住友林業アズビル『エアドリームハイブリッド』(195~230万円)
『エアドリームハイブリッド』は他社の全館空調システムと比較した時に目立った特徴はありませんが、導入費用も標準的な価格なので、住友林業で家を建てる方は予算的に問題がなければ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
住友不動産『きくばり』(230〜250万円)
アズビル製の全館空調システム『きくばり』は、自動運転できるスケジュールタイマーや温調OFF、室内の温度を感知して自動で温度を制御するインバータ機などによって省エネ運転ができるため、電気代を抑える効果が期待できます。
トヨタホーム『スマート・エアーズ』(230~250万円)
2015年度グッドデザイン賞を受賞している『スマートエアーズ』は、株式会社デンソーの自動車技術を応用して作られたトヨタホームオリジナルの全館空調システムです。
HEMS(家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム)と連携させる事によって、外出先からでもスマホ経由で操作が可能です。
三井ホーム『スマート・ブリーズ』(230~250万円)
三井ホームの全館空調『スマート・ブリーズ』は、タイプ別に3種類に分かれます。 機能やコストによって選べるのが特徴です。
- 『スマートブリーズ・エース』:40坪以上の住宅におすすめ。
- 『スマートブリーズ・プラス』:40坪以上の住宅におすすめ。エースの基本機能プラス脱臭機能が付いています。
- 『スマートブリーズ・ワン』:40坪以下の住宅におすすめ。
※価格帯はエース、プラスを参考にしています。
ミサワホーム『エアテリア』(250~300万円)
ミサワホームの『エアテリア』はデンソー製の全館空調システムです。
脱臭機能が付いているため、部屋干し時に匂いが服に移るのが気になる方には最適です。ただし、トイレや浴室には吹き出し口が付けられないので注意が必要です。
三菱『エアリゾート』(250~300万円)
『エアリゾート』は各部屋・各ゾーンごとに温度風量制御できるシステムが導入されているため、部屋ごとに温度を上げたり下げたりすることで省エネ運転が可能です。
各メーカーの販売方法・機能・導入費を知りたい方は、こちらをご覧ください。
【全館空調を徹底比較】各メーカーの比較すべきポイントを知ってライフスタイルに合った1台を見つけよう!
まとめ
全館空調の導入費用はメーカーによって大きな差があること、高いと思われがちな電気代を抑える方法などについてご紹介しました。
そのほかに、全館空調の導入時には、機器本体だけでなく建築費用も発生することから、費用面で少々不安を感じられるかもしれませんが、住宅ローン面でのメリットもあります。
ご予算に合わせた住宅建設が重要となりますので、資金計画や電気代を抑えるための家づくりに詳しい工務店さんとご相談されることをおすすめします。