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【対策!】全館空調のデメリットを理解して、快適な暮らしを手に入れる!

公開日 2020.12.18
更新日 2023.07.12
エコロジーと省エネ全館空調

全館空調は、近年、家づくりをするうえで多くの人たちが導入を検討するようになり注目されている空調設備です。「室内を快適温度に保てる」「室内空気をクリーンに保つことができる」「間取りの自由度が高まる」などのメリットがある一方で、デメリットもあります。
今回は全館空調の導入にあたってデメリットを知り、快適な暮らしを実現する対策を考えていきます。

この記事のポイント
  • 全館空調の特徴がメーカー別に分かる
  • 全館空調の悪い口コミから分かるデメリット解決策を紹介
  • デメリットがあっても全館空調を導入する理由を解説

目次

1.全館空調とは?

全館空調とは、各部屋にルームエアコンを設置せず、建物の中や小屋裏などに大型の空調設備を設置し、住まい全体の空調を一括して管理できるシステムのことです。
研究開発も進んでいる分野で、取り入れる住宅メーカーも増加していることからコストパフォーマンスもよくなり、住まいを購入する際に導入したい住宅設備のひとつになってきています。

特徴
  • 住まい全体の空調を一括管理できる
  • 換気や空気清浄、冷暖房を1台で担える
  • 住まい全体の温度を均一に保てる
  • 24時間365日体制で、住まい全体を快適な室温・湿度に調整できる

全館空調はメーカーによって、設備や冷暖方式、販売方法に違いがあります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます

全館空調のメーカーや特徴、メリットなどの詳細はこちらを参考にしてみてください。
関連記事:全館空調のメリット・デメリットと、全館空調について知っておくべき4つのポイント

2.全館空調を導入した人たちのリアルな声

打ち合わせのとき、業務用で単価が低いと言われていましたが、基本料金が高かった
我が家の場合は基本料金5,000円強。
トータルの電気代は旧宅+3,000〜13,000円ですね。
(2月分は2週間弱、家族で実家に泊まっていたため旧宅の電気代が低いです。)

家電は総買い替えしたので省エネになってるはずだし、この秋以降、過ごしやすい時期は全館空調止めてしまおうと思うので、使い方を改善したら、2年目はもう少し下がるかなぁ。

引用元:#76 全館空調の感想と電気代、維持費

夏や冬の部屋の移動時に感じるストレスがありません。
特に、東北育ちの私たち夫婦にとって、関東の夏の暑さが大の苦手。
夫は、東京に転勤になって、初めての夏に自律神経がおかしくなって入院したことも。。。(T_T)
夜に暑くて寝られないことが本当にストレスでしたが、新居に越してからは、快適に寝られるようになりました。
それから、冬場のヒートショックの心配が無いのも、高齢になった時に、安心です。

引用元:全館空調のメリットデメリットと我が家の電気代*入れ替え費用に驚愕!

全館空調が入っている三井ホームのモデルハウスに行くと、加湿器が色々な場所にあるのでかなり乾燥するんだろうな~と思ってましたが、やっぱり乾燥します。 入居当日。寝起きに喉がイガイガ・・・。「やっぱり・・・」秋は乗り切りましたが、暖房に切り替えた瞬間。ノドやられました。

おしゃれな加湿器を置きたい気持ちもあったけど、乾燥が深刻だったのでともかく加湿の容量がでかい加湿器を買いました~。このバカでかい加湿器のおかげで、全館空調の乾燥がかなり軽減し、冬を乗り越えました。
水が12リットル入るのですが、冬は一日でなくなります。恐るべし全館空調の乾燥。
危うく、全館空調を導入して後悔するところだった・・解消されたので、デメリットと言えないのかもしれませんが、空気の乾燥は避けられないと思います。

引用元:全館空調の家に住んで後悔したこと「全館空調のメリットとデメリット」

昨日はダウン着てたのに、今日は28°だって。こういう時の全館空調難しい。

引用元:Twitter

夏は冷房・春や秋は送風モード・冬は暖房のモードと3つの切り替えが全館空調でできるのですが、厄介なのは、季節の変わり目に起こる朝晩の寒暖差。
朝晩は冷房はいらないけど、昼間は冷房にしたい時が全館空調のデメリット発揮!温度や運転モードを切り替える時が、全館空調の電気代が跳ね上がる原因になると聞いているので、こまめに毎日切り替えができない・・・。

引用元:全館空調の家に住んで後悔したこと「全館空調のメリットとデメリット」

子供が寒がったので、ついに暖房を入れてしまった…。
もう後には戻れない。
我が家は全館空調システム故に、暖房入れると家中の暖房が入ってしまう。
(各部屋の通気口を閉める事はできるけど)
玄関からトイレから全部暖房が入るので暖房費が半端ない。
寒いの我慢して風邪ひくよりいいか…

引用元:Twitter

3.全館空調のデメリット4つと押さえたいポイント

【費用がかかる!】工事費用、ランニングコスト、メンテナンス費用

設備工事費用

設置費用の目安は、100~300万円ほど。
※住宅面積が40坪程度で全館空調を導入した場合。
※参考費用です。空調メーカーや家の規模、部屋数などにより費用は変動します。

全館空調は、建物の中に大型の機械を設置して、配管は天井や壁の中に配置して各部屋につなぐことで風を届ける仕組みになっています。これにより、機械の価格だけではなく、工事の規模が大きくなり、設置費用が非常に高額になることがあります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
価格帯レンジ メーカー名
230万~300万
  • 三菱エアリゾート
  • 三井ホーム「スマートブリーズ」
  • 積水ハウス「エアシーズン」
  • ミサワホーム「エアテリア」
130万~230万
  • 住友林業「エアドリーム ハイブリッド」
  • トヨタホーム「スマート・エアーズ」
  • アズビル 「きくばり」
130万円以下
  • YUCACOシステム研究会「YUCACOシステム」
  • Z空調
  • オンレイECO床暖システム

ランニングコスト

電気代は、季節により月6,000~20,000円
※ただし、メーカーによります。

全館空調の開発は、各メーカーともに進化しているので、設備性能やコストパフォーマンスは向上しています。住まいの規模や断熱気密性によって左右されますが、ランニングコストは月10,000円前後が平均といわれています。しかし、毎月平均が約25,000円という家も……!

4~6月、9~11月など、冷暖房をあまり使用しない季節は電気代が安くなりますが、ルームエアコンと同様に夏と冬、特に12月~3月までの寒い時期は特に電気代が高くなるので注意が必要です。

■実際に全館空調を導入している家族の声によると・・・

東海地域に北海道次世代省エネ基準をクリアする建物を建てました。
築10年になります。
子ども5人の7人家族です。
エアコンは1台だけ。
それ以外に暖房器具はありません。
オール電化なので、ガス代は0円
電気代は一番多い月で2万円ちょっと。
過ごしやすい時期だと6,000~7,000円/月程度

引用元:全館空調のデメリットってなんでしょう?どこのハウスメーカーでもメリットばかりでデメリットはあまり教えてくれません。ダクト内のカビ発生、吹出口、換気扇のお手入れ、電気代など心配なこと

メンテナンス費用

業者によるメンテナンス:年間10,000~20,000円
各種フィルター交換:1,500~5,000円

全館空調は、通常のルームエアコンよりもメンテナンスに手間がかかります。また、一度本体が故障をすると空調設備が使えなくなくなるため、定期的に各種フィルターの交換や業者によるメンテナンスが重要です。

■三井ホームの全館空調(東芝スマートブリーズ・プラスⅡ)を導入した人の場合

<業者メンテナンス>
 18,000円(税抜)/回 
 ※年に1回以上、メンテナンスが必要
<各種フィルター交換費用>
・空気清浄フィルター(1 年)1,500円(税抜)
・光再生脱臭フィルター(6 年)5,000円(税抜)
・換気ユニットフィルター(3~5 年)価格不明
・高性能フィルター(3~6 カ月、※オプション)価格不明

引用元:三井ホーム・全館空調のメンテナンス費用と総費用

■デンソーの全館空調(「ARHZP」シリーズ)を導入した人の場合

メンテナンス費用は、1年32,400円(税込)
内訳は、点検費用20,000円、フィルター代10,000円

引用元:全館空調のメリットデメリットと我が家の電気代*入れ替え費用に驚愕!

ポイント
「高気密・高断熱住宅」を選択、メンテナンスにかかる費用をあらかじめ用意!

「一般住宅」と「高気密・高断熱住宅」でそれぞれ全館空調を導入した場合、熱効率に優れた高気密・高断熱住宅のほうが電気代は抑えやすくなります。また、売電収入を得ることもできる太陽光発電システム等と組み合わせることも可能なので、月によって収支がプラスになることも。
また、短期間のメンテナンスだけでなく、10~20年ぐらいでかかってくる全館空調の交換費用、修理費用なども事前に把握して準備をしておくとよいでしょう。 住まいの省エネ性能やエネルギー効率など、総合的に判断した導入を検討してみてください。

「高気密・高断熱住宅」ってどんな家…?と思った方は、以下の記事も参考にしてみてください。 高気密・高断熱の家ってどんな家? メリット、デメリットを徹底解説

【故障したら大変!】家全体の調整ができなくなる

全館空調は、家の中の気温をできるだけ一定に保つよう1つの空調設備で空調全体をコントロールできるのが特長です。そのため、一度設備本体が故障した場合は家のあらゆる空調機器や設備が使用できなくなるという問題があります。

ポイント
エアコン2台設置タイプを選ぶのもひとつ、そして定期的なメンテナンスが大事

最近では、エアコンを2台以上使う全館空調、例えば桧家住宅「Z空調」などが登場しています。もし1台が故障しても、ダメージが半分になるというメリットがあります。

このように、最近は2台設置するタイプも登場して、応急処置的に故障への対応が出来るようになった全館空調設備もあります。 しかし、そうは言っても大きな故障をしてしまうと、機械自体の交換も考えなければなりません。

【調整が難しい!】個別調整や季節の変わり目は苦手

一般的な全館空調は、部屋ごとの温度調節はできない。
季節の変わり目に起きる、朝晩の寒暖差が厄介。

全館空調は基本的に建物内で一括管理をするため、部屋ごとに温度を変えることができませんでした。しかし、最近では部屋ごとに温度調整ができる全館空調も出てきているようです。
また季節の変わり目には、朝が寒く、昼間はあたたかいといった温度差が生じることもあります。

ポイント
各部屋の寒暖差がないほうがより快適!

家族で暮らしていれば、同じ温度でも快適な温度かどうかは人それぞれです。全館空調は部屋ごとの快適性は劣る部分もあるかもしれませんが、一方でどの部屋も一定の温度を保つことができるので、真夏の2階の部屋がサウナのように暑くなっていることも、真冬の廊下やトイレ、脱衣所で寒さにも苦しまずにすむのです。
また、急激な温度変化によって身体に大きな負担がかかる「ヒートショック(※)」による急死のリスクも軽減できます。
寒暖差ストレスを感じることなく過ごせるということは、念頭に置いておくとよいでしょう。

※ヒートショック:家の中の急激な温度変化により、血圧が大きく変動することで心筋梗塞や脳梗塞、失神などを引き起こして身体へ悪影響を及ぼすもの。

冬季の室内移動による温度と血圧の変化

【加湿器が必須!?】室内が乾燥しがちに……。

冬場は加湿器が欠かせない。

冬季は外気に含まれる水分が少なく乾燥しています。
その外気が換気によって室内に取り込まれて暖房で熱せられるとさらに乾燥していきます。
吹き出し式全館口調は、吹き出し口付近が設定温度よりも高いのでさらに湿度が下がってしまいます。
乾燥を防ぐためには加湿器は必須アイテムです。
風邪やインフルエンザ予防のためには湿度は40%以上を保つのが望ましいと言われています。

ポイント
乾燥対策を知っておきましょう!

室内の壁や床などの素材は、ビニールクロスやフローリングなどではなく、壁には珪藻土や漆喰、床や天井などに無垢材などの調湿効果の期待できる素材を用いると乾燥しやすい状態を和らげることができます。また、加湿器の設置だけでなく、部屋干しをすることや、観葉植物を置くといった対策をすることで、日々の生活の中でできる乾燥対策をしている人もいるようです。
また、全熱交換式の第一種換気システムは全ての熱(温度+湿度)を交換するので、乾燥が多少和らぎます。

4.全館空調のある暮らしは、こんな方におすすめ!

効果的に全館空調を活用すれば、デメリット以上に快適な暮らしを手に入れている人たちが多くいます。以下のような方たちには、導入コスト以上にメリットがあるのではないでしょうか。

  • 寒暖差によるストレスをなくしたい。(夏の夜の寝苦しさが嫌い、冬の朝は寒くて布団から出られないなど)
  • 吹き抜けのリビングなど開放的な間取りを検討している。
  • 小さなこども、高齢の家族がいる。
  • 寒暖差によって体調に支障をきたしやすい家族がいる。
  • 室内でペットを飼っている。

上記のような方は、全館空調を導入することで快適な住環境になるでしょう。

また、名古屋大学で実施された全館空調システムを導入した住宅複数戸および個別空調住宅を調査した論文で、全館空調の居住者たちの意識や行動結果を発表しています。

・全館空調住宅の居住者は、省エネルギー性よりも快適性を優先する傾向にある。 ・今回の対象住宅の特徴として軒の出が浅いこと、窓を開けることはほぼなく換気システムを連続稼働して過ごすこと、1階リビングで家族揃って過ごし、2階寝室・子供部屋の使用頻度は低いことが確認された。 ・多くの全館空調住宅において夏期・冬期は24時間連続運転、中間期は送風運転または運転を停止して過ごす。 ・各住宅の設定温度を分析することで、住宅ごとで求める快適性の違いやスケジュール運転を使用しているかどうかが分かった。 ・全館空調住宅において設定温度は比較的こまめに変更されており、快適性を優先する中でも省エネ設定温度で過ごしている住宅も見られた。

引用元(一部抜粋):空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集{2018.9.12~14(名古屋)}「全館空調住宅における使用状況の実態調査と室内温熱環境評価(第3報)居住者の意識および年間を通じた各住宅の空調運転状況」

すでに全館空調を取り入れている住宅の実態も参考にすることで、よりイメージが湧いてくるのではないでしょうか。

5.まとめ

いかがでしたか?
全館空調は、広々としたリビングや十分な部屋数を得られるなど、デザイン性が高く、間取りの自由度も高い家づくりを実現させてくれるだけではなく、快適な住まいをつくるために重要な選択肢の一つにもなります。
住まいの条件によって、メリットだけではなくデメリットは必ずどこかに出てきます。そうした部分を事前に知っておくことで、自分たちの生活をイメージしながらよりよい住まいの選択をしていけるようにしましょう。

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