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安心・安全な自然素材の住宅で家族丸ごと健康に!メリット・デメリット付き

公開日 2023.03.15
更新日 2023.06.16
住宅建築自然素材

自然素材の家とは、無垢材(むくざい)や珪藻土(けいそうど)、漆喰(しっくい)などの自然素材を積極的に使った家を指します。自然素材の家に住むことで、アレルギーや喘息、花粉症の症状が軽減される例もあり、家を構成する素材の重要さも注目されています。 この記事では、住まいの化学物質によって起こり得る健康被害と、自然素材を取り入れた家作りについてご紹介します。

目次

1.「室内の空気」の重要性

人は1日に約21キロの空気を吸っており、その量は飲食物をゆうに超えます。空気は私たちの健康に大きく関係しており、家を建てる上で目をつむることはできません。家族の健康を守るためにも自然素材にこだわり、注文住宅だからこそできる安心・安全の家作りをしましょう

2.日本の気候に適した丈夫で長持ちする自然素材の家

自然素材の家

昔の日本の住宅は、気候や風土に合う土と木、草と紙などの自然素材を使いバランスよく構成され、長く大切に使われてきました。
しかし戦後、プラスチックやビニールなど化学物質の含まれた新しい素材を取り入れたことで、早く簡単に建てられる住宅が主流となり、現在の日本の住宅の寿命は平均30年と先進国の中でも特に短いといわれています。
何十年、何百年と維持されている寺院や古民家はまさに自然素材のみを使い建てられています。このように健康面だけでなく、耐久性にも優れた素材とは何があるのか、特徴とメリット、デメリットを併せてご紹介します。

無垢材(むくざい)

無垢材とは丸太から切り出した、自然な状態のままの木材のことを指します。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
無垢材(むくざい
CASE576回廊の家

画像引用元:注文住宅の家づくり|CASE576回廊の家

こちらの写真は子供部屋の床に無垢材を取り入れた事例です。従来の床材は数枚の板を接着剤で合わせて作られており、その接着剤に含まれている化学物質が空気中に蒸発することで、体内に吸収されシックハウス症候群などの健康被害が起こります。しかし、無垢材であれば化学物質ゼロの自然そのものを使用することができるので、このような心配が要りません。また肌触りが良く、大人だけでなくお子様にも心地良い空間を作ることができます

無垢材の種類は広葉樹と針葉樹に分けられます。

  • 広葉樹(強度があり傷つきにくい):オーク、チーク、ウォールナットなど
  • 針葉樹(歩行感、肌触りがいい):スギ、ヒノキ、パインなど

風合いや特性がそれぞれ異なるので、好みのものを探してみましょう。

漆喰(しっくい)

漆喰とは石灰に灰汁や海藻、粘土などを混ぜて練り合わせて作る、主に壁に塗る塗料に使用されます。酸素を吸収しながら時間をかけて固まっていくことから「呼吸する壁」とも呼ばれます。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
漆喰(しっくい)

塗装のデザインは平らなものだけでなく、模様仕上げやさまざまな素材を混ぜるなどオリジナリティを出すことも可能です。

CASE576回廊の家

画像引用元:漆喰の良さ|原田左官工業所

珪藻土(けいそうど)

珪藻とはプランクトンを指し、その化石を原料とした土を珪藻土と呼びます。主に壁に塗る塗料に使用されており、多数の微細な孔(あな)に空気中の水分やニオイ成分を強力に吸着するパワーがあります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
珪藻土(けいそうど)

珪藻土は塗装のデザインだけでなく色の選択肢も豊富なので、内装にこだわりたい方にも人気です。

珪藻土

「漆喰」と「珪藻土」を比較すると一見違いが分かりにくいですが、下記のような特徴が挙げられます。

  • 調湿性:漆喰 < 珪藻土
    漆喰も十分に調湿性がありますが、珪藻土の方が優れています。
  • 耐水性:漆喰 > 珪藻土
    水に強い漆喰は外壁や水回りにも使用することができます。
  • 施工期間の長さ:漆喰 < 珪藻土
    漆喰は自ら固まることができますが、珪藻土は固まることができないので上から固化材を塗る必要があります。

漆喰と珪藻土の違いまとめ

漆喰と珪藻土の違いまとめ

注文住宅で使われることの多い代表的な自然素材を3つご紹介しました。それぞれが化学物質を使わないだけでなく優れた特性を持っており、独特な風合いは温かみがあり住む人にとっても心地のよいものです。

3.実際どうなの?気になる「自然素材の家」に住むいうこと

ここでは自然素材の家の特長について、詳しく解説します。

住み心地|天然の調湿作用で一年中快適

無垢材や漆喰、珪藻土が調湿してくれるので、一年中快適に過ごすことができます。室内が調湿されることでカビやダニも発生しにくくなるので、ハウスダストなどのアレルギー対策としても抜群の効果があります。
また無垢材を使った床は足触りがよく、梅雨時期はさらっと、冬は冷たさを感じず素足でも過ごすことができると人気です。
また化学物質がないため、室内が森林浴のように空気が美味しく感じられるともいいます。

お手入れ|耐久性が上がる家

特別なメンテナンスやお手入れが大変なんてことはありません。従来の家同様に適切な手入れを続けるだけで十分です。また、無垢材や漆喰は長く使い続けることで耐久性が増すため、良い状態で長く住み継ぐことができます

コスト|選ぶ会社によって差が出る

自然素材は一般的な建材に比べて高めの価格設定です。施工面でも、貼るだけの壁紙とは異なり、漆喰や珪藻土は技術と時間が必要となるため、費用がかさみます。
しかし、自然素材をメインに施工する会社であれば自社製材を持ち、手頃な価格を実現しているので積極的に問い合わせてみましょう
自然素材の家は費用がかさみがちですが、他の要素でコストを抑えるアイデアもあります。コストカット術を知りたい方は、こちらをご覧ください。

収納計画案|注文住宅だからこそできるコストカット術をご紹介

4.家族の健康をおびやかす「シックハウス症候群」

「シックハウス症候群

シックハウス症候群という言葉を耳にしたことはありますか。

近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。
引用:「シックハウス対策のページ」厚生労働省

住宅に使用されている建材にはさまざまな化学物質が含まれており、それらが蒸発し空気中に放散されることで体内に吸収され、シックハウス症候群を発症してしまう場合があります。建材から蒸発される化学物質のうち、空気よりも重い物質は床面近くに滞留し、小さなお子さまがダイレクトに吸収してしまいます。では実際に家の中でどんなものにこの化学物質が使われているのかを解説します。

住まいの中にある化学物質

住まいの中にある化学物質

「シックハウス症候群」を引き起こす原因となる物質はさまざまありますが、中でも以下の物質の影響が大きいといわれています。

  • ホルムアルデヒド:合板、ビニル壁紙の接着剤
  • トルエン:塗料
  • キシレン:内装材の接着剤、塗料

特に問題視されている「ホルムアルデヒド」は、家一棟でドラム缶一本分使用されているといわれています。実際に家のどの部分で使用されているのか具体的な例を挙げて見ていきましょう。

ホルムアルデヒドの主な使用例

  • 合板を張り合わせるための接着剤:フローリング、住まいの壁、押入れ、天井、家具、建材など
  • 壁紙を貼るための糊:部屋、トイレなど家の至る所

ホルムアルデヒドは無色で刺激臭がある気体です。安価で扱いやすい物質のため、フローリング、壁、天井と家の全方位に多用され、室内の濃度によっては健康被害の声が出ています。
国もその有害性を認め、2003年7月1日施行の建築基準法改正により、ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建築材料は、発散量に関する等級区分により、使用面積の制限等がなされることになりました
住宅建設会社のホームページ等で「F☆☆☆☆(エフフォースター)」という表記を目にしたことはありませんか。Fはホルムアルデヒドの発散濃度を示した基準で、濃度によって星の数が変わります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
住まいの中にある化学物質

法の改正以降はほとんどの住宅建設会社で、F☆☆☆☆の合板が使用されています。また同時に「24時間換気システムの設置」も義務付けられました。シックハウス症候群は、有害な化学物質の室内濃度が高くなることが発生要因なので、換気で室内環境を改善することが必須なのです
換気についてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【換気が大事!】高気密・高断熱な住宅で、快適かつ健康に暮らす

住まいの中にある化学物質

せっかく建てる夢のマイホームは、注文住宅だからこそできる安心・安全の家作りをしたいもの。ここで自然素材の出番です!

自然素材は適材適所で取り入れられる

自然素材を取り入れた家は、従来の家に比べて費用が高くなる傾向があります。家からすべての化学物質を排除するとなると莫大なコストがかかってしまうため、家族が長時間過ごすリビングや寝室は積極的に自然素材を取り入れるなど、予算に併せて設計ができる点も注文住宅のメリットといえるでしょう
住宅建設会社の中には、自然素材をメインに施工する会社も多く存在します。インターネットで「◯◯(地名) 自然素材 住宅」と検索すると地元のメーカーを知ることができます。


豆知識 〜化学物質安全データシート〜

家を建てる人は、「住宅物質製品安全データシート」という 情報書類の提出を求めることができます。

このシートには「どのような製品にどのような化学物質がどれだけ使われているか」などの情報が記載されています。シートを取り寄せ、記載のある化学物質について調べ、気になるものがあれば別の建材に変更してもらうなどの取捨選択が可能です。
一手間加えることで安全性を上げられ、オススメの方法です。

まとめ

この記事では、自然素材を取り入れた家づくりについてご紹介しました。あなたにとっての「家」とは何でしょうか。自分の家を建てるのなら、家族が安らげ健やかな生活を送ることができる住居が理想ではないでしょうか。家族の健康を守るためにも、積極的に自然素材を取り入れて家作りを進めてみませんか。

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