注文住宅を検討中の方 工務店・設計事務所の方

バリアフリー注文住宅で家族みんなが幸せに!具体的なポイントとメリットをご紹介します

公開日 2022.10.25
更新日 2023.07.10
住宅建築間取り・デザイン

バリアフリー住宅は、「老後の住まい」とイメージされる方も多いのではないでしょうか。しかし、家の寿命は長く、一方で自分たちの暮らし方は常に変化していきます。先を見据えたバリアフリー住宅は、小さな子どもから介護が必要なご高齢の方まで家族みんなにとって暮らしやすい場所になります。
今回の記事では、どの世代にとっても暮らしやすいバリアフリー住宅づくりの情報をご紹介します。

この記事のポイント
  • 住宅内で事故が起こりやすい場所がわかる
  • バリアフリー住宅のポイント
  • お得な金利優遇制度

目次

1.転倒事故現場の第1位は「住宅」

平成28年から令和2年の6年間で起こった転倒事故606件のうち、約半数の 299件が住宅での発生です。

65 歳以上の不慮の事故による死因のうち「転倒・転落・墜落」及び「交通事故」による死亡者数の推移

死亡者数の推移

画像引用元:参考資料 「毎日が#転倒予防の日~できることから転倒予防の取り組みを行いましょう~」

不慮の事故による死因のうち 65 歳以上の高齢者による「転倒・転落・墜落」の死亡者数は、交通事故の約4倍も起こっています。さらに、「2019年 国民生活基礎調査の概況(要介護者等のいる世帯の状況 )」では、介護が必要となった主な原因の3位に骨折・転倒があげられています。
住宅での事故は、ご高齢の方だけではありません。消費者庁消費者安全課の調査によると、平成28年~令和2年の5年間での子どもの事故は、ほぼ半数以上が住宅内で起こっています。さらに0歳〜4歳までの事故発生場所を見ていくと、80%以上が住宅内で起こった事故だということがわかります

2.住宅内にある実は危険な場所

では、住宅内での事故はどこで起こっているのでしょうか。

場所 事故内容
玄関 転倒、つまずき、スリップ
廊下  転倒、段差でのつまずき
ドア・サッシ 開閉時の打撲、転倒
お風呂 スリップ、床が滑って転倒、
ヒートショック
トイレ スリップ、立ち上がり時の転倒、
ヒートショック
階段 スリップ、転倒
リビング・居間 転倒、段差でのつまずき
キッチン 火事、スリップ、転倒
寝室 転倒、ベットからの転落
ベランダ・屋外  スリップ、窓枠でつまずいて転倒、
転落

参照元:家の中で死につながる危険なデッドゾーン10選|リスクと注意ポイントを専門家が解説

事故内容を見てわかるようにほとんどが転倒ですが、中にはキッチンでの火事や、お風呂やトイレでの温度差から起こるヒートショックもみられます。
このような事故を起こさないためには、下記の基本のポイントを参考に住宅をバリアフリーにすることが有効的です

3.バリアフリーとは

「バリアフリー」の「バリア」とは、英語で障壁(かべ)という意味です。バリアフリーとは、生活の中で不便を感じること、様々な活動をしようとするときに障壁になっているバリアをなくす(フリーにする)ことです。
バリアフリーという言葉は、もともとは建築用語として、道路や建築物の入口の段差など物理的なバリア(障壁)の除去という意味で使われてきましたが、現在では、障害のある人や高齢者だけでなく、あらゆる人の社会参加を困難にしているすべての分野でのバリア(障壁)の除去という意味で用いられています。

参照元:知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」

4.バリアフリー住宅の基本

満足度の高いバリアフリー住宅にするには、以下の3つのポイントを基本に考えると良いとされています。

1)段差を無くす

つまずきやすく、車いすも通りにくい段差がある部屋は、介護や子育てに不向きです。特にご高齢の方は、ほんの少しの段差でも転倒することもあり、大けがや死亡事故に繋がりかねません。段差がなくなるような設計をしましょう。

玄関前をスロープにして出入りしやすい動線を確保

動線を確保

画像引用元:バリアフリー・スロープ・階段などの注意事項

玄関に入るまでのアプローチ部分を、階段ではなくスロープにすることで、転倒しにくく車いすやベビーカーの通行もしやすくなります。
見た目では傾斜がなさそうに見えるスロープでも、実際に車椅子やベビーカーを押してみると負担が大きくかかる場合があります。用途に合わせたスロープの傾斜を選びましょう。

各部屋の段差をなくしクッション性のある床材を検討しよう

クッション性のある床材

ご高齢の方は、数センチの段差でもつまずき転倒の恐れがあります。部屋との間の段差は全て無くしフラットな床にしましょう。さらに床をクッション性に優れている素材にすると、誤って転倒した際も被害が少なくすみます。小さいお子さんがいる家庭でも安心して生活できるでしょう。
床材について知りたい方はこちらをご覧ください。

【新築】おしゃれな家は床材選びから!カラー別事例集&床材選びのコツをご紹介

2)転倒を予防する

階段やトイレなどの滑りやすい場所は、手すりを付けたりドアの形状を工夫したりするなどして転倒を予防しましょう。立ち上がる際にバランスを崩して転倒することもあるので、普段の生活をイメージして手すりの設置場所を決めると良いでしょう。
玄関内には、手すりやベンチを配置することで転倒防止になります。靴の脱ぎ履きの際、ひざや腰の負担も軽減されるので、どの世代にとっても使い勝手の良い玄関になります。

手すりの高さを決めるときは体のバランスも考慮しよう

手すりの役割は

  • 歩行のサポート
  • 日常の動作のサポート
  • 転倒・落下の予防

です。体の大きさや、用途に合わせた手すりを設置しましょう。下記の表は、一般的なバリアフリーで推奨されている手すりの大きさや場所です。選択の基準としてお役立てください。

表
下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
身長別 手すりの高さ
身長(cm) 床から手首までの高さ(cm)
155 74.5
158 78.0
165 83.0
178.5 83.5
手すりの太さ 直径2.8センチ~3.5センチ
手すりの種類 水平型
水平型
縦型(I型)
縦型(I型)
L字型
L字型
階段用
階段用
据え置き型
据え置き型
主な配置場所 廊下・玄関・トイレ 玄関・トイレ 浴槽・トイレ 階段 ベッドやソファなどの近く

画像引用元:介護用手すりの種類と選び方のポイントを割りやすく解説!

手すりの配置で注意したい事は、壁から手すりまでの距離です。平均で10センチほどあり、狭いトイレなどに付ける場合は、少し圧迫感が出てしまいます。付けた後に違和感を感じる事のないよう、間取りづくりの時点で手すりの位置もふまえた広さを確保しましょう。

廊下は車いすが通れる広さを確保

転倒防止のために廊下の壁に手すりを付ける場合、隣で支えることも考え、廊下の幅は80~90センチほど確保したほうが良いでしょう。このくらいの幅があれば、車いすでの移動になった場合でも対応が可能です。

扉はスライド式の引き戸が安心

扉はスライド式

画像引用元:階段下のスペースを有効利用したトイレ【トイレ】

筋力が低下しているご高齢の方は、外や内側に開くタイプの扉ではバランスを崩し、転倒の恐れがあります。スライド式の扉にすることで、軽い力で開閉でき、転倒の恐れも減るでしょう。万が一室内で転倒して動けない場合でも、体が引っかかって扉が開かないといった事態も防げるので安心です。

3)温度差をなくす

各部屋の寒暖差があることで、ヒートショックが起こる可能性が上がります。家全体の温度差がなくなるような対策をしましょう。

ヒートショック予防には全館空調がおすすめ

全館空調

冬場に温かいリビングから寒いお風呂やトイレに移動すると、急激な温度変化で血圧が上昇し、ヒートショックを起こす恐れがあります。特にご高齢の方に多い現象ですが、若い方でもまれに起こる場合があります。ヒートショックを防ぐためには、家中どこでも同じ温度に設定ができる全館空調がおすすめです。さらに空気清浄機能を搭載しているタイプの全館空調では、常にきれいな空気が循環するので、小さなお子さんやペットのいるご家庭でも安心して使用できます。

全館空調について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

全館空調のメリット・デメリットと、全館空調について知っておくべき4つのポイント

全館空調の価格相場はどれくらい?電気代・メンテナンス費は?各社の導入費用を徹底調査

5.まだまだある、家族みんなが快適に暮らせるバリアフリー

安全に暮らせるバリアフリーの工夫には以下のようなものもあります。

電気を活用した火を使わない生活で火事のリスクを軽減

火を使わない

キッチンでガスコンロを付けたまま忘れる。石油ストーブが倒れたまま気が付かない。などの理由で住宅火災が起こるケースも多くあります。IHコンロ・電気ケトル・電気を使用した冷暖房設備などを導入して、火を使わない生活にすると良いでしょう。お手入れが楽な物も多く、小さなお子さんにも安心なので家族みんなにとってメリットのあるバリアフリーの一つです。

夜間の足元には人感センサーの照明が安心

人感センサーの照明

夜間にトイレに行く際、足元が暗くならないように人感センサー付きのライトを付けましょう。壁に埋め込み式のライトにすれば歩行の邪魔にもならず安心です。付ける位置は、廊下を出た時に点灯する場所に1つ、廊下が2メートル以上ある場合は途中に1つ、トイレの扉の下に1つあれば夜間でも足元が明るく歩きやすくなるでしょう。

6.バリアフリー住宅で知っておきたい知識

バリアフリー住宅にしたいと思っている方は、以下のような情報を知っておくと、より満足度の高い住宅になるでしょう。

新築時は、どこまでバリアフリーが必要かも考えて

バリアフリー住宅の重要性をここまで説明してきましたが、実際は新築時に完全なバリアフリー住宅にする必要はありません。
バリアフリーの様々な設備は、現在必要でない人からすれば必要以上の費用がかかったり、お気に入りのインテリアを損ねてしまうなどのストレスを抱える場合もあります。
また、将来の事情によっては自宅を出て介護施設への入居が急に必要になるなど、せっかく用意した住宅を使わなくなるリスクもあります。
そこで、例えば新築時には、廊下を広めにとる、引き戸を多くする、階段の勾配を緩やかにする、階段は壁面に接するようにして手すりがつけられるようにしておく、全館空調を採用するなど、構造面だけ整えておくと、いざとなったときに低コストでバリアフリー器具が設置出来ます。

バリアフリーの知識が豊富な住宅建設業者はアイデアも豊富

住宅建設会社を選ぶ際には、バリアフリーの施工実績や、福祉住環境コーディネーターなどのバリアフリーの知識を持つ方が在籍している会社が良いでしょう。 また現在介護認定を受けている場合は、各地域の介護相談窓口や担当のケアマネージャーに相談すると、ご自身に合ったバリアフリーの内容や、支援制度などの提案をしてもらうことができます。

二世帯住宅でのバリアフリー

二世帯でのバリアフリー住宅では、親世代と子世代の両方が快適に過ごせる内容を重視しましょう。

  • お互いの様子がわかりながらもしっかりプライバシーは守れる設計
  • いい距離を保ちながら交流がしやすい間取り
  • 介護が必要になった場合でも親子それぞれがリフレッシュできるような空間づくり
  • 介護する側にとって負担が少ない動線

などをふまえて、間取りづくりやバリアフリー器具を設置すると良いでしょう。

二世帯住宅について知りたい方はこちらをご覧ください。

二世帯住宅の種類は3タイプ 二世帯住宅に多い悩みやストレスを知って自分達に合った建て方を選ぼう

7.新築バリアフリー住宅に使用できる金利優遇制度

バリアフリー住宅の補助金は、ほとんどがリフォームで使用できるもので、残念ながら新築住宅では使用できないケースも多くあります。
しかし、【フラット35】の住宅ローンでは、一定のバリアフリー基準を満たすことで通常の住宅ローンよりお得な金利優遇を受けることができます。

【フラット35】S (2022年8月現在)

バリアフリー性に関する基準
【フラット35】S(金利Aプラン)

高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可)

【フラット35】S(金利Bプラン)
バリアフリー性に関する基準(高齢者等配慮対策等級3)

フラット35

【試算例】借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.50%の場合

取扱金融機関または住宅金融支援機構の審査の結果によっては、お客さまのご希望にそえない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
試算結果の数値は概算です。
(注)上記総返済額には、融資手数料、物件検査手数料、火災保険料などは含まれず、お客さま負担となります(借入額に含めることができる場合があります)。

引用元:【フラット35】S

まとめ

バリアフリー住宅は、小さなお子さんや介護する世代、ご高齢の方にとってもさまざまなメリットがあります。
現在の生活と将来の生活のバランスを考え、専門家の意見も参考にしながら安心で安全な住宅づくりをしてみてはいかがでしょうか。

メルマガで家作りに役立つコラムの新着記事を受け取る インスタで家作りに役立つ情報を今すぐチェックする

この記事を読んだ方への
おすすめ

人気の記事
ランキング

ECO床暖取扱い工務店を探す
ECO床暖を体験する
値段が気になる