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二世帯住宅の種類は3タイプ 二世帯住宅に多い悩みやストレスを知って自分達に合った建て方を選ぼう

公開日 2022.05.18
更新日 2023.07.11
家づくりの流れ間取り・デザイン

住宅を建てる際、両親との同居を考え二世帯住宅を検討される方もいるのではないでしょうか。家族で支え合って生活できる二世帯住宅はとても魅力的ですよね。
しかし、近くで生活すると各世帯のプライバシーが守りにくいため、ストレスに感じるケースもあるようです。
今回の記事では、二世帯住宅を検討する際の心構え・二世帯住宅の種類・親世帯のためのバリアフリー化についてご紹介します。
ご自身の希望するライフスタイルに合わせた二世帯住宅づくりの参考になさってください。

この記事のポイント
  • 二世帯住宅に多い悩みやストレスがわかる
  • 二世帯住宅の種類から自分に向いている住宅タイプがわかる
  • 二世帯住宅のバリアフリー化のメリットがわかる

目次

1.二世帯住宅とは

二世帯住宅とは、親世代と子世代が一緒に生活することを前提として建築された住宅です。子世代は「両親に子育てや家事を手伝ってもらいたい」親世代は「将来的に自分の介護を頼みたい」という理由で検討される方が多いようです。二世帯住宅は、経済的なメリットも大きいでしょう。土地や建築費用も、お互いに出し合うことで、負担が少なく希望の注文住宅を建てることができます。
メリットの多い二世帯住宅ですが、意外と認識されていないトラブルが多いのが事実です。
住んでいるうちに、親子の関係性や住宅事情でトラブルになることも少なくありません。
二世帯住宅で起こるトラブルにはどのようなことがあるのでしょうか。

2.二世帯住宅に多い悩みやストレス

悩みやストレス

二世帯住宅に多い、悩みやストレスの中から一例として、このようなことがあげられます。

価値観やライフスタイルの違い

親子とはいえ、それぞれの価値観やライフスタイルは異なります。生活を共にすることで意見が分かれたり不満が出てくることもあるでしょう。共用部分の使い方や、子育てや介護に対する考えの違いも関係性が悪くなる原因になります。

どこにいくのか、何をしていたのかなど干渉されてしまう

二世帯住宅にすると、親世代が子世代に対して何かしてあげたいと、おせっかいになる事も。頻度が多くなると、いつまでも管理されているようでストレスに感じてしまいます。
最近は、コロナウイルスの影響で、人込みや遠出を懸念する親に、行き先を言いにくいと感じている子世代もいるようです。

同居の二世帯住宅は親族にとって実家になる

親族からすると両親の住宅が実家という認識になります。同居の場合、親戚の集まりなどが実家で行われる際に、準備やおもてなしをしなければなりません。気を使ったり、自分のテリトリーを使用されてしまったり、ストレスに感じることもあるでしょう。
また親世代でも、同居する家族のことを考えると、親族を気軽に呼びにくくなったという声も聞かれます。

売却が難しい

同居の二世帯住宅は需要が少なく、価格水準が高めなので売れにくい物件です。二世帯の希望を合わせた間取りが多いため、買い手のライフスタイルと合わず購入を見合わせるといったケースも多いようです。

一方、二世帯住宅はいくつかの種類があるため、家庭の事情に合わせた種類を選ぶことで解消できるトラブルも多くあります。

3.二世帯住宅の種類

ここからは二世帯住宅の種類について解説していきます。
二世帯住宅の種類は、主に3つのタイプに分けられます。

  • 完全共有型
  • 部分共有型
  • 完全分離型

それぞれのタイプにはメリット・デメリットがあります。各タイプに向いている家族も合わせて詳しく見ていきましょう。

完全共有型

完全共有型

完全共有型とは、玄関や水まわり・リビング・ダイニング・キッチンといったほぼすべてのスペースを、二世帯共同で使用するタイプの住宅です。生活を共にするので、家族の毎日の健康状態が常に把握でき、住宅や設備費用が一世帯分になるので別世帯で過ごす二世帯住宅より、建築コストが抑えられます。
しかし、四六時中いっしょに過ごしていると、些細なことも気になってきます。一人の時間やプライベートな空間がないとストレスを感じるケースもあるでしょう。


完全共有型住宅に向いている家族

  • 親子のコミュニケーションを頻繁に取って生活したい
  • 日中は仕事で家にいる時間が少なく、親に家事を手伝ってもらいたい
  • 二世帯住宅の費用を抑えたい

完全共有型にしたい方におすすめな間取り

完全共有型にしたい方におすすめ

部分共有型

部分共有型にしたい方におすすめ

部分共有型とは、一部の住宅設備やスペースを二世帯共同で使用するタイプの住宅です。一般的に玄関・洗面所・お風呂を共有するケースが多く、これらを共有することで完全分離型二世帯住宅に比べ費用を抑えられます。
キッチンやリビングを別世帯にすることで、同居しながら家族だけの時間を多く過ごせるのがメリットと言えるでしょう。
デメリットとしては、完全に別世帯ではないため生活音が気になる、共有部分の光熱費があいまいになる、といったことがあげられます。さらに水まわりを共用する場合は、使い方や衛生面が気になるといった声も聞かれます。


部分共有型住宅に向いている家族

  • プライバシーを確保しながら家族と近くで住みたい
  • 家事や子育てを協力しやすい環境にしたい
  • 共有部分の使用にあまり抵抗がない

部分共有型にしたい方におすすめの間取り

部分共有型にしたい方におすすめ

完全分離型

完全分離型

完全分離型とは、親世帯と子世帯が完全に独立しているタイプの住宅です。完全に別世帯になるので、お互いに干渉されにくく自由に生活しやすくなります。将来的に両親が亡くなった場合でも、賃貸住宅にしやすい住宅です。
デメリットは、二世帯分の住宅や設備費用がかかるため、通常の住宅に比べ建築コストが高くなりやすいことです。完全に独立した住居になるので、各世帯の生活リズムが違う場合、全く顔を合わせない日が多くなることもあります。近くにいても、今忙しいかな?などお互いに気を使い、コミュニケーションのタイミングが難しいと感じることもあるようです。


完全分離型住宅に向いている家族

  • 同居はできないが、近くに家族がいてほしい
  • 広い土地を所有している
  • 都合の良い時に家族とコミュニケーションを取りたい

完全分離型にしたい方におすすめの間取り

完全分離型にしたい方におすすめ

4.二世帯住宅の暮らしはこんなに良いことが

ここまで二世帯住宅の心得や種類を説明してきました。二世帯住宅にはメリットもたくさんあります。親世代・子世帯が感じる二世帯住宅にして良かったと思うところをまとめました。

親世代の良かったと思うところ

  • 外出や旅行に行っても家が留守にならないので安心感がある
  • 孫と交流する機会が増えてうれしい
  • 子世代が話し相手になってくれるので気持ちが明るくなる

子世代の良かったと思うところ

  • 親世代と協力して子育てができる
  • 親世代と家事を分担しているので家事の負担が少なくなり助かる
  • 親世代が建築費用の一部を支払ってくれたので、自己負担が少なく注文住宅を建てられた

親子世代の両方が二世帯住宅で良かったと思うことは、家族がたくさんいるので協力し合えることでした。日々のコミュニケーションでお互いの体調を把握できたり、困っていることがあれば、すぐに駆けつけられるのは二世帯住宅最大のメリットです。最近は、親子の仲がよい家族も多く、お互いに助け合いたいという理由で二世帯住宅を希望される方が増えてきています。

5.二世帯住宅建築時に考えたいバリアフリー化

二世帯住宅で考えておきたいことの一つとして、親世帯のバリアフリー化があります。将来的に足腰が弱ってきたり、住宅介護になった場合を考えると、間取りを決める段階で取り入れた方がよいでしょう。建築段階で取り入れたいバリアフリーの項目を3つご紹介します。

トイレや廊下に手すりを付ける

トイレや廊下に手すり

画像引用元:転倒予防ナビ 大切な人を転倒から守る

日常的に使うトイレ・廊下・階段には、転倒防止のために手すりを付けましょう。トイレの手すりは、立ち上がるために横の手すり、立ち上がったあと体を安定させるために縦の手すりがあるとよいので、L字に設置するのがおすすめです。
廊下・階段の手すりは、親の身長や、生活動線をふまえて高さや設置場所を考えましょう。一般的には丸形の手すりが使われますが、肘を使って支えることも考え、台形や四角の手すりにするのもよいでしょう。

段差を解消する

段差を解消する

画像引用元:バリアフリーにする6つのキーワード 「段差・手すり・引き戸・温度差・明るさ・素材」

足腰が弱ってくると小さな段差でもつまづきやすくなり、車いす生活になった場合にも段差があることで生活しにくくなってしまいます。設計の段階で、床を上げたり、段差解消用の部品を設置しましょう。夜でも足もとが見やすくなるフットランプも効果的です。

各部屋の温度差をなくす

各部屋の温度差をなくす

部屋の温度差によって起こるヒートショックは、65歳以上でリスクが高まるといわれています。さらに部屋の温度差は、住宅の結露やカビ・ダニの発生原因にもなります。建物全体を均一な温度で、清潔な空気を保てる全館空調の導入を検討してみるのもよいでしょう。

子世代にとってもバリアフリー化はメリットがいっぱい

バリアフリー化

介護側にも負担が少ない

両親の足腰が弱くなってきても、手すりを使って自分で動ければ、介護の必要が無くなります。また、両親が高齢の場合、突然介護生活になることも考えられます。事前にバリアフリー住宅にしておくことで、介護用リフォームをすることなくスムーズな流れで介護生活に移行できるでしょう。

段差がない部屋は掃除が楽になる

狭い段差に詰まったごみを毎回取り除くのはとても面倒ですよね。バリアフリーの床にすることでゴミも溜まりにくく掃除がしやすくなります。流行しているお掃除ロボットを使う際にも、途中で止まることなく最後までスムーズに掃除ができます。

全館空調は家族みんなが快適に過ごせる

全館空調は、親世代のヒートショック対策の他にも、さまざまなメリットがあります。部屋以外の廊下・トイレ・お風呂などすべての場所が同じ温度に保たれるので、家中どこにいても快適な温度で過ごせます。換気機能がある全館空調では、窓を開けての換気が必要ないので、花粉やアレルギーが心配なご家庭でも、安心して使用できるといった声も多くあります。

まとめ

今回の記事で、二世帯住宅について以下のことがわかりました。

  • 二世帯住宅の主なトラブル
    「親子の価値観の違い」「プライバシーが守りにくく干渉されてしまう」
    「親族の集まりが負担になる」「売却しにくい」
  • 二世帯住宅は完全共有型・部分共有型・完全分離型の3種類ある
  • 建築時に親世帯のバリアフリー化を検討するのがよい

最近の二世帯住宅は、親子関係が良好で助け合いながら楽しく生活している家族が多いようです。二世帯でよい関係性を保つのに必要なことは、お互いの生活リズムやライフスタイルを認め合い、干渉しすぎないで生活していくことです。
トラブルを防ぐ建築時の対策として、完全共有型・部分共有型はプライベートな空間を作っておく。完全分離型はお互いの住居に行き来しやすい通路を作り、コミュニケーション不足にならないようにする間取りづくりをおすすめします。
さまざまなタイプの二世帯住宅から親子の希望に合った住宅を選んでみてはいかがでしょうか。

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