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【欠陥住宅を防ぐ!】新築を検討するなら、基礎工事を理解しておこう

公開日 2021.06.08
更新日 2023.07.12
健康的な住まい

住宅を建築するときには、どのような間取りにするか、どんな家具を置こうかといろいろと考えを巡らせますよね。特に住宅内のことへの関心は高まっても、基礎工事など工事のことは業者さん任せにしている人もいるのではないでしょうか。

この先数十年と暮らす家は、誰もが安心・安全・快適に過ごしたいと思うはず。住宅の基礎工事は家の土台となる大切な工程のひとつです。基礎工事の役割や流れを知り、工事についてある程度の知識を持っておくと、建てた後に安心して日々を過ごすことができるでしょう。

そこで、住宅の基礎工事とはいったいどんな工事なのか、どのような作業を行うのかを、わかりやすくご紹介します。

この記事のポイント
  • 基礎工事の注意点を知ることで手抜き工事を回避でき、建設後も安心して住むことができる
  • 基礎工事を徹底解説
  • いい基礎ができる為の地盤選びや調査方法を説明

目次

住宅の基礎を知って、安心・安全に過ごそう

家の土台、住宅の基礎工事とは?

住宅の基礎は、外壁の下に配される鉄筋コンクリートの造作物のことです。地面と建物がつながる部分で、住宅を支える家の心臓部といえる大切なところです。

そのため基礎に異常があると住宅に不具合が生じ、地盤ごと沈下して建物が傾くといった現象が起こってしまうこともあるので、調査をすることや工事方法をなどを理解しておくことはとても大切です。

生活するうえでは、なかなか実感が湧きづらいかもしれませんが、欠陥住宅となって建てたあとに不安な生活を送らず住めるように、基礎を理解しておきましょう。

基礎は、鉄筋コンクリートでつくられ、接する地盤に対して建物の垂直荷重を伝達する「底盤(ていばん)」や防水目的で設置される鉛直部材である「立ち上がり」、建物の基礎部分や地下を支える「地中梁」、「杭」などで構成されています。これらの工事をするのが基礎工事です。

気になる工事費用の目安は、

基礎工事の単価は1㎡当たり15〜20万円ほどで、新築住宅全体の工事費用の約5〜10%程度を占めています。基礎工事の単価はエリアや設計内容によって大きく変わるため、あくまで目安と捉えておきましょう。

引用元:【図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介

基礎工事の種類は?

住宅の基礎の工事方法は、一般的な戸建て住宅で採用されている工法は主に3種類あります。

鉄筋を使用しない昔からの工法「布基礎」

日本の住宅で古くから採用されてきた基礎で、地面に対して逆T字型にコンクリートを打設する工法です。

布基礎を説明する画像

引用元:ミサワ

<メリット>

  • コストが安い
  • 蓄熱効果がある
  • ベタ基礎と比較して基礎自体が軽いため、地盤に負荷がかからない

<デメリット>

  • 耐震性はベタ基礎に劣る
  • シロアリが侵入しやすい
  • 湿気がこもりやすい
  • 床下空間を設けないためメンテナンスや修繕時は大変

最も普及している「ベタ基礎」

現在、国内の住宅の多くで採用されている工法です。ベタ基礎は、家の床下部分に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎になっています。床下のコンクリート部分まで鉄筋が入っています。

<メリット>

  • シロアリの侵入防止
  • 不同沈下が起きにくい(建物の重さを地面に分散するため)
  • 湿気を防止

<デメリット>

  • コストが高い
  • コンクリート内の鉄筋数で強度が変わる

床下空間のない「SRC基礎」

SRC基礎を説明する画像

引用元:フォレスト+1

布基礎、ベタ基礎と異なり、床下空間はありません。盛土と砕石が鉄筋コンクリートで覆われている基礎です。コンクリートと砂利で基礎の中を埋めてしまうので、床下空間がなく別名「逆ベタ基礎」とも呼ばれています。

特許が取得されている基礎になるので、現在は限られたハウスメーカーや工務店でしか採用されていないのが現状です。

<メリット>

  • 湿気を防止
  • シロアリの侵入を防止できる
  • 蓄熱効果がある
  • 耐震効果がある
  • 床下浸水を回避できる

<デメリット>

  • 他の工法と比較して工事工数が多いため、工事期間が長くなる
  • コストが高い

基礎工法で床下空間があるものとないものをご紹介しましたが、基礎工法を理解したうえでよりよい住宅をつくるシステム設置や機器の導入の際には、床下空間を活用した住宅基礎を断熱材で覆う「基礎断熱」という施工法があります。

よりよい住宅を建てるうえで、以下も参考にして基礎工事について考えてみるとよいでしょう。

参考:『基礎断熱』とは?『床断熱』との違いとメリット・デメリット、種類について

工事の流れを知っておこう


家の新築に大切な、基礎工事。
ここでは、基礎工事の流れをご紹介していきます。

1)地縄を張る(遣り方工事)

出典:写真左図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介、写真右宮城の家づくり情報局

地縄を張るというのは、建物の位置を確認するために敷地に縄やロープなどを張って印をつける作業のことです。この作業が終わると、建物の正確な位置を決定するための基準点として、木の杭などで造作物をつくる遣り方を出します。

2)根切りをして(掘削工事)、砕石を入れる

出典:【図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介

基礎形状に合わせ、重機で基礎の底になるところまで掘削し、敷地内に砕石と呼ばれる細かく砕いた石を敷いたあとに、機械で地面を締め固めて基礎づくりをします。

3)防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流す

基礎に地面からの湿気が侵入しないようにするために防湿シートを敷き、基礎形状を正確に造成するために、建築する位置の印となる捨てコンクリート(捨てコン)を外周部に流します。

4)鉄筋を組む(配筋)

建てる位置が決まったら、鉄筋を組みます。基礎の強度などに影響がある重要な作業です。

5)型枠組み、基礎コンクリート打設

コンクリートが漏れないように基礎の外周に木製や鉄製などの枠で型枠を組み、基礎コンクリートベース部分のコンクリートを打設し、養生します。養生というのは、型枠を外すまで一定期間置くことを意味しています。

6)基礎内部の型枠を組み、基礎内部のコンクリートを打設

ベース部分のコンクリートが乾いたら、基礎の立ち上がり部分の型枠を組みコンクリートを打設して、コンクリコートの強度を発現するためしばらく養生期間を設けます。

7)型枠を外して、仕上げ

コンクリートの強度が出るまで養生したら、型枠を外してひび割れなど初期不良がないか状態を確認します。仕上げ作業としては、土間や給湯器置き場、勝手口といったところのコンクリート打設や不要なコンクリートを除くというような作業も行って基礎が完成します。

期間は、通常1ヶ月〜1ヶ月半程度かかるようです。

基礎工事の前に!地盤は大丈夫?

地震大国・日本

日本は世界的にみて地震大国といわれる国ですが、どのくらい頻発しているのかを知っていますか?(一財)国土技術研究センターによると、全世界の20%が日本付近でマグニチュード6の地震が発生しているのだそうです。地震は、プレート同士がぶつかってその摩擦が原因で起こるものです。日本は、世界でも珍しく4つものプレートが集まる地点に位置しています。そして、日本には地震の原因のひとつとされる活断層が約2000ほどあると推定されていて、今後も地震が発生すると考えられています。そのため地震が起こる可能性が高いのです。

人間にとって住宅は長くいる場所です。だからこそ安心・安全な家を手に入れておきたいですよね。住宅を検討する際には日本の特徴を理解して、建てるときには地盤も安全であるか調べることを忘れないようにしましょう。

不同沈下などのリスクを回避!地盤の確認を。

住宅を建てるときには、敷地の向きやアクセスの良さに注目したり、耐震性や耐久性といった頑丈な構造にこだわる人もいると思います。それと同じくらい大事なのが、しっかりとした地盤の土地を選ぶこと。どんなに丈夫で素敵な家を建てたとしても、地盤が弱いと自然災害の発生などで、大きな被害につながるリスクが高くなってしまいます。

地盤が軟弱だと、起こりうるのが「不同沈下」とよばれる現象です。

不同沈下の原因は、

  • 土地に対する荷重が均等になっていない
  • 盛土の転圧(固めること)が不足して強度不足になっている
  • 盛土と切土が混在することで一定の強度を保てていない

と言ったことが考えられ、時がたつにつれて家が傾いてくるなどの現象が起きます。
こうなると、窓やドアの開閉が難しくなったり、外壁のひび割れが生じたり、さらにはめまいなど住む人の健康被害にもつながる恐れがあります。

地盤は家を支える大事な役割を担っているもの。安心して過ごすためにも、地盤をしっかり調べて土地選びをしていきましょう。

<硬質地盤を選ぶべし!>

選ぶべきは、災害に強い地盤です。
なぜなら文字通り、硬く締まっている性質なので、地中にある水が地表に一気に吹き出す液状化現象や家が傾くといったことが起こりにくくなるからです。
また、強い地盤であれば住宅工事の際の改良工事が不要になり、基礎工事をすぐに行うことができるので、工事コストもかかりません。

反対に軟弱地盤の場合、柔らかい粘土やゆるい砂によってできているので、強度が弱く耐久性が低い地盤です。また水分を多く含んでいることが多いので、地盤沈下などのリスクがあります。

<地盤調査でわかること>

一般的に家を建てるときには、施工会社や設計依頼をした建築士などを通じて、調査の必要性を判断してもらいます。新築の場合は、プランや配置が決定するとまずは土地の地盤調査をするところから始まります。地盤調査を通して、土質・土層や地下水位、地盤構成、強度の把握や液状化判定などができ、どのくらい土地が建物の荷重に耐えられるのかがわかります。

地盤調査方法は「SWS試験」「ボーリング調査」「表面波探査法」の主に3つあります。一般的な住宅の敷地面積であれば

  • SWS試験:5〜10万円程度
  • ボーリング調査:15〜25万円程度
  • 表面波探査法:8〜12万円程度

が相場となっています。

もう少し地盤調査について詳しく知りたい方は以下も参考にしてみてください。

参考:地盤調査とは? 必要な費用の相場と土地選びのチェックポイント

<改良工事は主に3つ>

地質調査を行った結果、軟弱地盤であった場合は基礎工事の前に改良工事をする必要があります。改良工事の主な工法は3つあります。

  • 表層地盤改良工法:軟弱地盤が浅い場合に使用され、セメント系固化剤を現地の土を混ぜ合わせて固める工法。
  • 柱状地盤改良工法:セメントを土と攪拌(かくはん)して地中に柱をつくり、建物の荷重を支えるようにする工法。
  • 小口径鋼管工法:地中深くまで鋼管の杭を打ち込んで、建物の荷重を支える工法。

改良工事の費用は、床面積が20坪程度の場合に、

  • 表層地盤改良工法:約50万円
  • 柱状地盤改良工法:約100万円(同じ面積でも条件によっては1000万円を超えることも)
  • 小口径鋼管工法:約100万円

が目安となっています。

改良工事について詳しく知りたい方は以下も参考にしてみてください。

参考:地盤改良ってどんな工事をする?費用は?どんなときに必要?

<ワンポイントアドバイス!>

「土地の素性を調べてみる」

よりよい土地選びに効果的なのは、その土地には過去に何があったのかを調べるといいでしょう。地盤の強さを予測するために、土地にあったものが何か、土地の用途などを過去の航空写真を見たり、縄文古地図をチェックするのがおすすめです。古地図の場合、縄文時代のものを見れば、すでにその時代に人が住んでいた場所は陸地であったことがわかるので、地盤がしっかりしている可能性が高いと考えられます。航空写真や古地図は、各市町村の図書館や役所、またインターネットでも検索できるものもあります。

まとめ

いかがでしたか?

住宅を建てるうえで安心・安全に暮らすために大切な住宅の基礎工事についてご紹介をしました。

新築住宅でも施工不良が発生することもあり、購入する際には最低限の知識を持っていることは大切です。

基礎工事の重要性や確認すべきポイントを押さえて、よい家づくりをしていってくださいね。

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