「光触媒(ひかりしょくばい)コーティング」をご存じでしょうか?もともとは紫外線の影響による外壁の劣化を防ぐものとして活用されていた光触媒ですが、近年、家の中のクリーニング方法として注目されはじめています。この記事では、光触媒コーティングの仕組みや効果、メリット・デメリットなどをまとめてご紹介します。
- 光触媒コーティングの仕組みとその効果を解説
- 光触媒コーティングのメリット・デメリットを紹介
目次
1.光触媒コーティングとは?
そもそも「光触媒」とはなんでしょう?光触媒と光触媒コーティングの仕組みについて詳しく解説していきます。
光触媒とは
光のエネルギーによって、化学反応を促進する物質全体を「光触媒」といいます。さまざまな物質の中でも研究が進み、今注目されているのが「酸化チタン光触媒」。酸化チタンは光に含まれる紫外線によって化学反応(酸化還元反応)をおこし、臭いや汚れ、その元となる菌や有害物質までも分解してしまいます。この化学反応は東京大学での研究で発見され、現在までさまざまな活用方法が研究されています。近年、酸化チタンの粒子をナノレベルにまで小さくし、可視光線でも化学反応を起こす光触媒が開発されたことにより、屋内での活用が増えています。
参考:光触媒の新世界 市場との対話が生んだブレークスルー-東京大学
光触媒コーティングの仕組み
酸化チタンを使用したコーティング剤を家の中(壁や床など)に吹き付けて乾燥させ、表面に酸化チタンの膜を張った状態にします。そうすることで、光をあてるたびに強力な化学反応が起こり、セルフクリーニング(抗菌、防カビ、消臭、シックハウス対策、防汚など)されるという仕組みです。壁や床の表面だけでなく、室内に浮遊する菌やウィルスへもその効力は発揮され、菌が生み出す毒素までも分解することができるといわれています。すでに多くのクリーニング事業社などで取り入れられ、事業者独自の研究も進み、感染症対策への期待も高まっています。
2.光触媒コーティング 主な5つの効果
光を当てることで「分解力」と「親水性」を発揮する光触媒には、その特性から下記の5つの効果があるといわれています。
抗菌・抗ウィルス効果 | 大腸菌・サルモネラ菌・カビ菌など施工面に付着した菌、ノロウイルス・インフルエンザなどを含むウィルスまでも分解し除去する |
---|---|
防カビ効果 | 壁やクロス、天井にも光触媒コーティングを行うことで、カビ菌の浮遊する胞子に対してもその効力を発揮する |
有害物質の分解・除去効果 | アレルギーの原因といわれる「ホルムアルデヒド」を含む、多くの有害物質を分解し除去する |
消臭効果 | 酸化チタンの化学反応により活性酸素が生成され、臭いの原因物質を水と二酸化炭素に分解。室内のあらゆる臭いに対しての消臭効果を発揮する |
防汚効果 | 壁や床、クロスに接触するアンモニアやその他の化学物質も分解し除去する。そのため、たばこによる黄ばみの抑制、清掃やリフォームのコストダウンにもつながる |
また、主成分である酸化チタンは食品添加物としても使用されており、薬品などを使用する方法に比べて人体への影響が小さく、安全性が高いという点も注目されている要因の一つです。
3.光触媒コーティングのメリット・デメリット
さまざまな効力をもつ光触媒コーティング。とても魅力的な施工法ですが、そのメリット・デメリットについてもご紹介しましょう。
メリット
- 処理された酸化チタンは、日本で化粧品や食品にも使用されており、人体への影響が低いといわれている
- 通常のお掃除以外でかかる抗菌・消臭・防カビ対策の必要がなくなる
- 紫外線を吸収する性質もあり、紫外線による室内の壁や床などの劣化防止にもなる
デメリット
- 効力を発揮するためには、光を当てなければならない(現在、光のいらない無光触媒の使用も広がりつつあります)
- 通常のクリーニングよりも費用がかかる(施工面積で価格設定されていることが多く、1坪あたり数千円〜1万円程度と事業者によって異なる)
- 効力の持続年数は2〜7年と事業者により大きく異なる
豆知識 〜光触媒コーティング 事業者選び〜
光触媒コーティングは近年新しく提供されている施工法であり、ルールがまだまだ統一されていない現状があります。そのため、価格帯や耐用年数など事業者によって大きく異なっています。
2006年に光触媒技術の向上や認知活動を目的に発足した「光触媒工業会」では、光触媒製品の品質・性能及び安全性の向上、製品性能表示の推進にも力を入れており、事業者が加盟する際にも高いハードルが設けられています。事業者選びにお悩みの際は、ここへ加盟している事業者を検討されるのも良いでしょう。
参考:光触媒工業会
まとめ
光触媒コーティングについてご紹介しましたが、いかがでしたか?感染症対策への意識が高まっている現在、家族をウィルスや菌から守る方法として注目されるのがわかります。しかし、まだまだ新しい技術ですので、下記の点も踏まえて検討しましょう。
- 光(紫外線)が当たらないとその効力は発揮されないため、コーティング後に光を当てることが必要
- コーティングされた表面がほこりや汚れで覆われてしまわないよう、コーティング後であっても通常のお掃除(拭き掃除・掃き掃除)は必要
- 事業者により費用や耐用年数など大きく差があるため、事業者選びは慎重に
事業者選びの際は、複数社に見積もりを依頼し、価格・機能や効力・安全性を踏まえて検討されることをおすすめします。また、光触媒コーティングは家を立てた後のクリーニング方法ですが、はじめからウィルスに強い家を建てることもできます。家づくりを検討されている方は、新築時に換気対策とあわせて除菌・ウイルス対策・脱臭などを施す住宅設備について、ぜひこちらをご覧ください。
除菌脱臭住宅換気システム