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【旗竿地とは?】本当にデメリットだらけなの?旗竿地のアレコレを徹底解説!

公開日 2022.08.26
更新日 2023.07.11
住宅建築

土地を探していると、よく見かける言葉である「旗竿地」。検索してみると、続いて「後悔」や「買うな」など、不穏なキーワードも出てきます。旗竿地とは、一体どういう土地なのか。本当に後悔するような土地なのか。メリットやデメリットも含め、詳しく解説していきます。

この記事のポイント
  • ①旗竿地の特徴がわかる
  • ②旗竿地のメリットデメリットがわかる
  • ③購入を検討する際にチェックすべきポイントがわかる

目次

1.旗竿地とは「竿がついた旗のような形状の土地」のこと

旗竿地とは、道路に接している間口の狭い敷地が路地状に伸び、その奥に有効宅地部分と呼ばれる、建物が建築可能な敷地がある形状の土地のことです。土地を上から見たときに、竿に旗をつけたように見えるため、旗竿地と呼ばれています。また、「旗竿敷地」や「敷地延長」「路地状敷地」と言われることもあります。四角形に整えられ平らになっている土地を整形地といいますが、旗竿地は不整形地と呼ばれる土地に分類されます。

旗竿地

建物を建てる土地にはさまざまな制限があり、そのうちのひとつに接道義務という条件が定められています。建築基準法では、幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上を道路として取り扱う区域は6m以上)の建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地(土地)でなければ住宅建築ができないという決まりがあります。この接道義務を満たすために、道路の方へ路地状の敷地を伸ばしているのが旗竿地です。

旗竿地は、敷地の利用価値が高い都市部で多く見られます。相続などの諸事情により持ち主が手放した広めの土地を、売れやすい価格や広さに分割して販売されることで、旗竿地ができていくのです。

接道義務を含む土地選びに関して詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

2.旗竿地の4つのデメリットと解決策

旗竿地には、土地の形状がもつ特徴からくるデメリットが大きく4つあります。デメリットとその解決策について解説していきます。

1)日当たり・風通しが悪い⇒間取りや設計で工夫をすれば大丈夫

整形地とは違い、旗竿地は道路から奥まったところに家が建つため、家に接する四面が建物に囲まれるケースが多くみられます。その場合、周辺の建物に遮られ、室内の日当たりや風通しが悪くなります。日当たりや風通しは、その土地の建ぺい率や容積率を気にしながら、間取りでの工夫で解決できることがあります。

建物に囲まれた旗竿地に家を建てる際には、間取りに吹き抜けや中庭を採用することで、光と風を家の中に取り込みやすくなります。また、より明るい2階部分に家族の集まるLDKを配置したり、勾配天井を採用することで、2階でも天井の高い広々としたLDKを実現することも可能です。更に、基礎部分を他の敷地より高くすることで、周辺の家よりも高い位置に部屋を作ることができ、日当たりが改善されます。

吹き抜けや勾配天井について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【30坪の土地に建てる注文住宅】建てられる家の広さの解説と間取りづくりのコツをご紹介

2)隣家との騒音問題が発生しやすい⇒防音・防犯対策をしっかりと実施

旗竿地では、路地部分も敷地面積として計算されるため、残りの有効宅地部分のほとんどが建築面積になるケースが多くあります。つまり、敷地の外周ぎりぎりいっぱいに家が建つということです。その結果、近隣の建物との距離が近くなるため、生活音などの騒音対策や死角を補う防犯対策が重要になってきます。

建ぺい率について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

騒音対策として有効な工夫

  • 高気密高断熱住宅を検討する
  • 2階部分にLDKを配置する

防音対策として、高気密高断熱住宅は非常に有効です。温度をさえぎるために壁に詰められた断熱材が、建物内外の音や声も吸収し、気密性の高い窓やサッシが、空気の流れとともに音が漏れ出るのを防いでくれます。高気密高断熱住宅は、冷暖房の熱を逃がさない省エネ効率が高いだけでなく、防音性能も高いことが大きなメリットでもあります。高気密高断熱住宅のように、一定の省エネ基準を満たす家を建築する場合、国からの補助金が出るケースがあります。騒音対策の一環として、高気密高断熱住宅を検討してみてください。

高気密高断熱住宅について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
「高気密・高断熱」って必要? デメリットから見えてくる、全館空調とのベストマッチングの理由とは
高気密・高断熱の家に住んでみて分かったメリット・デメリット。口コミを全調査

また、日当たり・風通しの観点でもご説明した、2階部分にLDKを配置するというのも騒音対策には有効です。生活のメインスペースであるLDKが1階部分にある家が多いので、LDKを1階層分上にあげることによって、周囲との生活音を空間的にずらすことができます。

防犯対策として有効な工夫

  • ホームセキュリティへの加入
  • 窓・玄関部分の防犯設備を強化する

四方を建物に囲まれるケースが多い旗竿地には死角も多いため、防犯対策も重要です。強化ガラスを使用した窓や、カメラ付きインターフォンなども防犯対策として有効な設備です。また、家の周囲に防犯砂利を敷いたり、人が出入りできる大きさの窓の部分にセンサー付きライトを設置するなど、不審者が出入りできてしまいそうな箇所に、不審者の嫌う音や光を発生させる対策も有効です。

3)路地部分の幅によっては、駐車スペースが確保できない場合も?!

旗竿地の場合、駐車スペースとなるのは主に路地部分の敷地となります。路地部分を駐車スペースとして活用する場合、道路に接している幅の広さが重要になってきます。

旗竿地の間口は何メートルあれば駐車可能?

まずは、車の車幅を確認しましょう。車のカタログや車検証に、車幅が記載されています。ただし、カタログや車検証に記載されている車幅は、ミラーが閉じている場合の幅となります。ミラーを左右に開いた状態では、おおよそ記載されている車幅にプラス20cmほど考えておくとよいでしょう。ミラーを開いた状態の各車種の車幅は、おおよそ以下となっています。


  • 軽自動車:1.70m以下
  • コンパクトカー:約1.9m
  • 普通車:約2.0m
  • 大型車:約2.1m

路地幅が2.5mほどあっても、乗り降りするスペースの確保を考えると、敷地前の道路状況などによっては駐車が困難になるケースもあります。しかし、お隣りの敷地が同じような旗竿地だった場合は「通行協定」というチャンスが残っています。

お隣さんと路地をシェアする通行協定

お互いの路地部分を共有してよいことを契約する「通行協定」というものがあります。
つまり、通行協定が結べる土地の場合、駐車スペースは自分の土地に停めて、通行はお互いの土地を通れますので生活の支障が出ない、というものです。路地幅が3mあれば、自分の土地だけで通行スペースも確保できます。

車の保有形態を考え直すのも一考

旗竿地が販売されるエリアは、比較的土地単価が高く、その分交通の便が良い場所であることが多いといわれています。近年は車を所有せず、カーシェアリングなどに切り替える方も多くみられます。旗竿地で車が停められないことをデメリットと考えず、思い切った発想の切り替えをしてもよいかもしれません。

4)旗竿地は建築コストがかかる?!⇒契約時にリスクの確認をしよう

旗竿地に住宅を建築する場合、想定以上のコストがかかるケースがあります。次の3点は事前に必ず確認しましょう。

旗竿地の建築コストがかかるケース

  • 路地状部分が狭すぎると、住宅を建築する有効宅地部分まで重機などが入れない
    • 職人の作業も増え、料金が割り増しになる傾向がある
    • 解体費用も同様に割り増し傾向に。古家付き土地を検討する場合は注意が必要
  • ガス・電気などのインフラ設備が土地まで通っていない場合がある
    • 分譲されたばかりの土地では、インフラ整備を自己負担でする必要があるか必ず確認する

一方、旗竿地はその形状や特徴から、中々売れにくい土地でもあります。元の持ち主や不動産会社は、売れ残る旗竿地を早めに販売したいと考えていることもあります。土地の販売と施工を依頼する住宅建設会社が一緒の場合、かさむ建築コスト分の費用を土地代金から割引してもらえるように交渉してみるのもよいでしょう。

3.旗竿地の4つのメリット

旗竿地はデメリットが目立つ傾向がありますが、もちろんメリットもあります。

1)整形地よりも延べ床面積を広く取れる可能性がある

建築基準法では、敷地面積に対する居住面積が、建ぺい率と容積率で定められています。旗竿地は、路地状部分の面積も敷地面積です。

40坪の旗竿地で有効宅地部分の面積が30坪、路地状部分の10坪の場合、建ぺい率60%で試算すると、40坪×60%=24坪となります。つまり、有効宅地部分30坪の80%の24坪が居住面積です。

仮に同じ金額で30坪の整形地を購入した場合は、30坪×60%=18坪が居住面積です。旗竿地ゆえに、同じ予算でも確保できる居住面積が広くなることがあります。

ただし、日照権などの問題で別の制限がかかるケースもあります。

土地の建ぺい率・容積率について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

2)路地状部分を活用した家づくりができる

路地状部分を持つ旗竿地の形状は、敷地入口から玄関までの距離が長いため、デザイン次第では緑で埋め尽くされたアプローチや、隠れ家のような雰囲気づくりなど、個性的な家づくりを楽しむこともできます。

路地状部分の活用方法

  • 間口〜路地部分にアーチやアプローチを作成して、ガーデニングを楽しむ。
  • 間口に門を設置し、路地状部分を庭として活用。
  • 路地状部分に玄関を設置し、広めの土間や玄関収納で機能的な玄関をつくる。

3)通行人の目や騒音が気にならない、静かな環境が手に入る

旗竿地は、道路に面しているのが路地状部分の間口の部分のみなので、奥まった敷地に住宅がある状態になります。車による騒音や排気ガスの影響が比較的少なく、通行人の視線なども気にならない、静かな環境で生活を送れるでしょう。また、子育て世帯の方にとっては、玄関を出てすぐ前が車などの往来のある道路ではないため、子どもの飛び出しなどによる事故の心配もありません。安心して暮らせる形状の土地なのです。

4)価格が販売エリアの相場よりも安い

旗竿地は、その形状から整形地よりも坪単価が安く設定されていることが多いです。同じエリアの旗竿地と整形地の価格モデルケースをご紹介します。

モデルケース

モデルケース
下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
同一エリア 整形地 旗竿地
土地面積(坪) 30坪 40坪

有効宅地部分=30坪
路地状部分=10坪
土地の価格 1800万円 1800万円
坪単価 1坪60万円 1坪45万円

モデルケースのように、整形地と同様の広さの有効宅地部分をもつ旗竿地は、整形地と同じ価格で販売されていることがあります。つまり、坪単価が安くなるということです。住みたいエリアが決まっていて、そのエリアの坪単価がご自身の予算に対して高めの場合、旗竿地はお買い得な土地といえるでしょう。

4.旗竿地ならではの近隣住民との関わり方も忘れずに

戸建てはマンションと違い、隣家との関わりが出てきます。旗竿地の場合は特に多くなる傾向があります。前述の通行協定に加えて、雨どいや外壁工事時の重機侵入、雪下ろし、落葉樹の掃除など、想像以上にお互いの敷地に立ち入る機会が多くなりがちです。

ご自身のスタンスが隣家とのお付き合いを極力無くしたいという方の場合は、通路部分が狭い旗竿地の購入は避けたほうがよいかもしれません。
また、事前に隣家がどんな方かも確認できると理想です。逆に、ほどよい距離感を保ちながら、「互助」の気持ちでお付き合いできると、暮らしやすさが増すメリットもあります。 近隣との関係性は、建築の様々な条件以上に暮らしの快適さに大きな影響があるのです。

5.旗竿地を購入する際の注意点チェックリスト

旗竿地は、その形状から整形地よりも購入時に気をつけなければならない注意点があります。家を建てた後の生活を考えた上で、ご自身の条件と土地の条件をよく吟味して土地の購入を検討しましょう。

checkmark路地状部分の幅を確認しよう

路地状部分の間口の幅は、車を保有している方にとって必須のチェックポイントです。また、奥行きの長さも合わせて確認するようにしましょう。路地状部分を駐車スペースとして活用する場合、間口は3m、奥行きは7m以上あれば普通車1台分の駐車スペースは確保できます。

checkmark土地や隣地の状況を確認しよう

旗竿地は四方を囲む形で建造物が建っている場合もあります。隣り合う敷地にはどのような建物が建っているのか、実際に現地を見に行って確認することも大切です。隣地が駐車場や空地などでも、旗竿地購入後に建物が建たないとは限りません。隣地の状況や、どのような条件の土地なのかを確認し、購入を検討するとよいでしょう。

checkmark建築時の費用を確認しよう

土地の購入価格が安くても、かかる建築費用がかさんでしまうと結局予算オーバーとなってしまうこともあります。購入する旗竿地の条件から、どのような追加費用がかかるのかを事前に確認することが大切です。場合によってはかさむコストを建築会社が負担してくれることもあります。複数の会社に見積依頼などをし、比較して検討できるとよいでしょう。

checkmark購入後の土地の売買に関して考えよう

旗竿地は、一般的には整形地よりも売れにくい土地です。将来的に売却する予定がある方は、売れる旗竿地かどうかも見極めましょう。売れる旗竿地の条件といわれているのは、以下の4点です。


  1. 路地状部分の幅が広い
  2. 路地状部分に重機が入る余裕がある
  3. 日当たり・風通しがいい
  4. ライバシー保護や防犯対策がされている

6.まとめ~旗竿地最大の魅力は、価格が安いこと!~

旗竿地には、整形地にはないデメリットもありますが、工夫次第で解決できるものも多くあります。ご自身の条件を満たす旗竿地が見つかれば、それはお買い得の土地と言えるでしょう。土地の購入を検討する際、最初から旗竿地を除外してしまうのはもったいないのかもしれません。工夫を楽しみながら、素敵なマイホームを実現していってください。

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