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【旗竿地とは?】メリット・デメリットと解決策をわかりやすく紹介!

公開日 2022.08.26
更新日 2024.09.18
住宅建築

土地を探していると、よく見かける言葉である「旗竿地」。検索してみると、続いて「後悔」や「買うな」など、不穏なキーワードも出てきます。旗竿地とは、一体どういう土地なのか。本当に後悔するような土地なのか。メリットやデメリットも含め、詳しく解説していきます。

この記事のポイント
  • 旗竿地の特徴がわかる
  • 旗竿地のメリットデメリットがわかる
  • デメリットの解決策がわかる

目次

1.旗竿地とは「竿がついた旗のような形状の土地」のこと

旗竿地とは、道路に接している間口の狭い敷地が路地状に伸び、その奥に建物が建築可能な敷地がある形状の土地のことです。土地を上から見たときに、竿に旗をつけたように見えるため、旗竿地と呼ばれています。また、「旗竿敷地」や「敷地延長」「路地状敷地」と言われることもあります。

旗竿地の画像

建物を建てる土地にはさまざまな制限があり、そのうちのひとつに接道義務という条件が定められています。建築基準法では、接道義務は※幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上を道路として取り扱う区域は6m以上)の建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地(土地)でなければ住宅建築ができないという決まりがあります。この接道義務を満たすために、道路の方へ路地状の敷地を伸ばしているのが旗竿地です。

※幅員(ふくいん):道・橋などの、横の長さ。はば。

土地選びに関して詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

2.旗竿地の4つのデメリットと解決策

旗竿地には、土地の形状がもつ特徴からくるデメリットが大きく4つあります。デメリットとその解決策について解説していきます。

デメリット1)日当たり・風通しが悪い

整形地とは違い、旗竿地は道路から奥まったところに家が建つため、家に接する四面が建物に囲まれるケースが多くみられます。その場合、周辺の建物に遮られ、室内の日当たりや風通しが悪くなります。日当たりや風通しは、その土地の建ぺい率や容積率を気にしながら、間取りでの工夫で解決できることがあります。

建物に囲まれた旗竿地に家を建てる際には、間取りに吹き抜けや中庭を採用することで、光と風を家の中に取り込みやすくなります。また、より明るい2階部分に家族の集まるLDKを配置したり、勾配天井を採用することで、2階でも天井の高い広々としたLDKを実現することも可能です。更に、基礎部分を他の敷地より高くすることで、周辺の家よりも高い位置に部屋を作ることができ、日当たりが改善されます。

解決案!「間取りや設計を工夫する」

吹抜けを設けることにより1階まで自然光が降り注ぐ住宅

画像引用元:吹抜けを設けることにより1階まで自然光が降り注ぐ住宅 注文住宅の家づくり|CASE665 LUCE

建物に囲まれた旗竿地に家を建てる際には、間取りに吹き抜けや中庭を採用することで、光と風を家の中に取り込みやすくなります。また、より明るい2階部分に家族の集まるLDKを配置したり、勾配天井を採用することで、2階でも天井の高い広々としたLDKを実現することも可能です。更に、基礎部分を他の敷地より高くすることで、周辺の家よりも2階の部屋を高い位置に作ることができ、日当たりが改善されます。

吹き抜けや勾配天井について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【30坪の土地に建てる注文住宅】建てられる家の広さの解説と間取りづくりのコツをご紹介

デメリット2)隣家との騒音問題が発生しやすい

旗竿地では、路地部分も敷地面積として計算されるため、残りの有効宅地部分のほとんどが建築面積になるケースが多くあります。つまり、敷地の外周ぎりぎりいっぱいに家が建つということです。その結果、近隣の建物との距離が近くなるため、生活音などの騒音対策や死角を補う防犯対策が重要になってきます。

建ぺい率について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

解決案!「防音・防犯対策をしっかりとする」

〜①騒音対策として有効な工夫〜

  • 壁や窓を防音性が高いものにする
  • 2階部分にLDKを配置する

音は壁に振動することで伝わります。一般的に住宅は木造が防音性が低く、振動しにくい鉄筋コンクリート造は防音性が高いといわれています。この他にも、壁の下地に遮音シートを埋め込む、窓を二重サッシにする、遮音性の高いカーテンを採用するなど対策はさまざまありますので、予算に合わせて検討しましょう。

また、日当たり・風通しの観点でもご説明した、2階部分にLDKを配置するというのも騒音対策には有効です。 生活のメインスペースであるLDKが1階部分にある家が多いので、LDKを1階層分上にあげることによって、周囲との生活音を空間的にずらすことができます。

〜②防犯対策として有効な工夫〜

  • ホームセキュリティへの加入
  • 窓・玄関部分の防犯設備を強化する

四方を建物に囲まれるケースが多い旗竿地には死角も多いため、防犯対策も重要です。強化ガラスを使用した窓や、カメラ付きインターフォンなども防犯対策として有効な設備です。また、家の周囲に防犯砂利を敷いたり、人が出入りできる大きさの窓の部分にセンサー付きライトを設置する など、不審者が出入りできてしまいそうな箇所に、不審者の嫌う音や光を発生させる対策も有効です。

デメリット3)路地部分の幅によっては、駐車スペースが確保できない場合も?!

旗竿地の路地部分に駐車を検討している場合は、路地幅と車幅のバランスが重要になってきます。

参考までに、一般的な車両の幅をミラーを開いた状態でご紹介します。
軽自動車:1.70m以下
コンパクトカー:約1.9m
普通車:約2.0m
大型車:約2.1m

乗り降りしたり横を通るスペースを考えると、路地幅は少なくとも2.5m、できれば3m以上、そして敷地前の道路が4.5m以上あると理想です。

豆知識 〜「協定道路」とは〜

協定道路とは、下図のように、お隣同士が旗竿地で双方またはどちらかの家が接道2mに満たなかった場合に、近隣同士で協定を結び、私道を共同利用することで建築の許可をとるものです。

協定道路に車を置くことはできませんが、協定道路はお互いの利用を可とするものなので、車庫入れや車の脇の通行が楽になります。

但し、お互いの敷地を侵害しないよう、利用に関するルールを明確にしておく必要があるのと、近隣の方との協力関係が保てないと生活面のトラブルが起きやすいので注意が必要です。

協定道路

解決案!「車の保有形態を考え直す」

旗竿地が販売されるエリアは、比較的土地単価が高く、その分交通の便が良い場所であることが多いといわれています。特に都市部では、自家用車並みの運用ができると車を所有せず、カーシェアリングに切り替える方も多くみられます。 旗竿地で車が停められないことをデメリットと考えず、思い切った発想の切り替えをしてもよいかもしれません。

デメリット4)旗竿地は建築コストがかかる?!

旗竿地に住宅を建築する場合、想定以上のコストがかかるケースがあります。

旗竿地の建築コストがかかるケース

路地状部分が狭すぎると、住宅を建築する有効宅地部分まで重機などが入れない職人の作業も増え、料金が割り増しになる傾向があります。さらに解体費用も同様に割り増し傾向に。古家付き土地を検討する場合は注意が必要です。

土地の検討時に、これらも事前に必ず確認するようにしましょう。

豆知識 〜割引の交渉〜

旗竿地はその形状や特徴から、なかなか売れにくい土地でもあります。元の持ち主や不動産会社は、売れ残る旗竿地を早めに販売したいと考えていることもあります。
土地の販売と施工を依頼する住宅建設会社が一緒の場合、かさむ建築コスト分の費用を土地代金から割引してもらえるよう交渉してみるのもよいでしょう。

3.旗竿地の4つのメリット

旗竿地はデメリットが目立つ傾向がありますが、もちろんメリットもあります。

メリット1)整形地よりも延べ床面積を広く取れる可能性がある

建築基準法では、敷地面積に対する居住面積が、建ぺい率と容積率で定められています。旗竿地は、路地状部分の面積も敷地面積です。

40坪の旗竿地で有効宅地部分の面積が30坪、路地状部分の10坪の場合、建ぺい率60%で試算すると、40坪×60%=24坪となります。つまり、有効宅地部分30坪の80%の24坪が居住面積です。

仮に同じ金額で30坪の整形地を購入した場合は、30坪×60%=18坪が居住面積です。旗竿地ゆえに、同じ予算でも確保できる居住面積が広くなることがあります。

ただし、日照権などの問題で別の制限がかかるケースもあります。

土地の建ぺい率・容積率について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
その土地大丈夫?決める前に後悔しない土地選びの見極めポイント

メリット2)路地状部分を活用した家づくりができる

路地状部分を持つ旗竿地の形状は、敷地入口から玄関までの距離が長いため、デザイン次第では緑で埋め尽くされたアプローチや、隠れ家のような雰囲気づくりなど、個性的な家づくりを楽しむこともできます。

吹抜けを設けることにより1階まで自然光が降り注ぐ住宅

画像引用元:画像引用元:間口に門を設置しプライベート感を出した住宅 注文住宅の家づくり|CASE665 LUCE

路地状部分の活用方法

  • 間口〜路地部分にアーチやアプローチを作成して、ガーデニングを楽しむ。
  • 路地状部分に玄関を設置し、広めの土間や玄関収納で機能的な玄関をつくる。

メリット3)通行人の目や騒音が気にならない、静かな環境が手に入る

旗竿地は、道路に面しているのが路地状部分の間口の部分のみなので、奥まった敷地に住宅がある状態になります。車による騒音や排気ガスの影響が比較的少なく、通行人の視線なども気にならない、静かな環境で生活を送れるでしょう。
また、子育て世帯の方にとっては、玄関を出てすぐ前が車などの往来のある道路ではないため、子どもの飛び出しなどによる事故の心配もありません。 安心して暮らせる形状の土地なのです。

メリット4)価格が販売エリアの相場よりも安い

旗竿地は、その形状から整形地よりも坪単価が安く設定されていることが多いです。同じエリアの旗竿地と整形地の価格モデルケースをご紹介します。

モデルケース

モデルケース
同一エリア 整形地 旗竿地
土地面積(坪) 30坪 40坪

有効宅地部分=30坪
路地状部分=10坪
土地の価格 1800万円 1800万円
坪単価 1坪60万円 1坪45万円

モデルケースのように、有効宅地部分の広さが整形地と同じ旗竿地が、路地状部分を足しても整形地と同価格で販売されていることがあります。つまり、坪単価が安くなるということです。 有効宅地部分の広さが整形地と同じ旗竿地が、路地状部分を足しても整形地と同価格で販売されていることがあります。つまり、坪単価が安くなるということです。

4.旗竿地ならではの近隣住民との関わり方も忘れずに

戸建てはマンションと違い、隣家との関わりが出てきます。旗竿地の場合は特に多くなる傾向があります。前述の通行協定に加えて、雨どいや外壁工事時の重機侵入、雪下ろし、落葉樹の掃除など、想像以上にお互いの敷地に立ち入る機会が多くなりがちです。

ご自身のスタンスが隣家とのお付き合いを極力無くしたいという方の場合は、通路部分が狭い旗竿地の購入は避けたほうがよいかもしれません。
また、事前に隣家がどんな方かも確認できると理想です。逆に、ほどよい距離感を保ちながら、「互助」の気持ちでお付き合いできると、暮らしやすさが増すメリットもあります。 近隣との関係性は、建築の様々な条件以上に暮らしの快適さに大きな影響があるのです。

まとめ ~旗竿地最大の魅力は、価格が安いこと!~

旗竿地には、整形地にはないデメリットもありますが、工夫次第で解決できるものも多くあります。ご自身の条件を満たす旗竿地が見つかれば、それはお買い得の土地と言えるでしょう。土地の購入を検討する際、最初から旗竿地を除外してしまうのはもったいないのかもしれません。工夫を楽しみながら、素敵なマイホームを実現していってください。

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