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【地盤調査】どんな事をするの?何が分かるの?地盤調査の疑問を解決します

公開日 2021.11.26
更新日 2023.07.12
健康的な住まい

土地購入の後に地盤調査を行います。どんなに耐震性の高い家をつくったとしても、地盤調査がおろそかだと、家の傾きや地盤沈下などの大きなトラブルが生じる可能性があります。住まいの安全性を高めるためには、建物の耐震性などに気を配るとともに、地盤についても意識をしておく必要があります。今回は、地盤調査の流れと結果の見方、ポイントを分かりやすくご紹介します。

この記事のポイント
  • 地盤調査の主な種類
  • 調査結果の見方のポイント
  • 強い地盤の探し方

目次

地盤調査とは

家を建てる前に、建物を建てても安全な土地かを調べることです。地盤調査はその土地の強度について調べ、建物が安全に支えられる地盤か、安全に建てるためにはどうすべきかを把握するために行う、安全な住まいを建てるためには欠かせない工程です。

地盤調査をすると「住宅瑕疵担保責任保険(じゅうたくかしたんぽせきにんほけん)」に加入できます。これは「引き渡し後10年以内に瑕疵(工事不備による欠陥など)が見つかった場合は、売主である販売会社や建築会社等(住宅事業者)が無償補修などをする」ことが定められており、住宅購入後に瑕疵が見つかった場合、保険金が支払われ補修費用を賄えるものです。家を建てた後の安心のためにも、地盤調査は必ず行いましょう。

地盤調査の種類を見てみよう

スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)

もっとも一般的な地盤調査方法であり、現在、戸建住宅の地盤調査方法としてもっとも普及しているのが、スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)です。建築業界では、略称としてSWS試験やSS試験と呼ばれます。(以降SWS試験)SWS試験は地盤にロッド(鉄の棒)を垂直に突き刺し、その沈み方から地盤の硬軟や締まり具合を調査します。ロッドがスムーズに沈んだ場合は地盤が弱いと判断し、逆に沈みにくかった場合は地盤が固いと判断します。5ポイント(敷地の4隅と中央)を調査することが一般的であり、調査期間は半日程度です。

引用:SWS試験(旧スウェーデン式試験)の方法と結果

SWS試験で実際に調査している様子

引用:【調査事例】戸建住宅で主流のSWS試験

ボーリング調査

ボーリング調査とは、小規模~大規模建物をはじめ、擁壁(土の崩壊を留める壁)、法面(自然または人工的に作った斜面)、道路、駐車場などの設計・施工に必要な地盤調査に用いられ、液状化判定や土壌汚染調査などにも用いられます。ボーリング調査は、深い深度(100m程度)まで採掘可能で、大規模建築物の調査に選ばれています。実施時には、やぐらが必要で、4m×5m程度の面積に5m程度の高さが必要になります。

参照:ボーリング調査(標準貫入試験)

ボーリング調査で実際に調査している様子

引用:ボーリング調査とは

平板載荷試験

平板載荷試験は、原地盤に載荷板(直径30cmの円盤)を設置し、そこに垂直荷重を与え、荷重の大きさと載荷板の沈下量との関係から地盤を調べます。平板載荷試験は、国土交通省に認められた調査方法です。構造物基礎の設計及び、設計条件の確認のための試験として規定されています。

引用:平板載荷試験

平板載荷試験で実際に調査している様子

引用:平板載荷試験

こちらの3種類以外にもさまざまな方法があります。各調査会社で図や動画を使って詳しく説明しているところもあるので、詳しく知りたい方は調べてみてください。

地盤調査別のメリット・デメリットを比較してみよう

SWS試験

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット デメリット
  • 調査時間が短い
  • 狭小地、傾斜地でも調査が出来る
  • 複数箇所の地盤の変化をよく捉えることが出来る
  • 土質資料の採取が出来ないので、大体の土質判定しか出来ない
  • 硬い地盤には不向き
  • 深度10~15m程度までの調査しか出来ない狭小地、傾斜地でも調査が出来る
  • 深度が増すとデータの信頼性が低くなる

ボーリング調査

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット デメリット
  • 硬い地盤での掘削調査が出来る
  • 深い層での調査が出来る
  • 土質試料を直接採取するので詳細な地盤の特性を調べられる
  • 支持層の確認が可能
  • 地盤の丈夫さ以外にもさまざまな調査が可能
  • SWS試験に比べると費用が比較的高い
  • 機材が大型なので調査スペースを確保する必要がある
  • 機械音・打撃音がする
  • 調査期間が数日間かかる

平板載荷試験

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット デメリット
  • 公的機関に認められた調査方法で信頼性が高い
  • 騒音や振動が出にくい
  • 装置の設置から撤去まで含めて約4時間
  • あまり深く地盤を調べられない
  • 作業スペースが大きい
  • SWS試験に比べると費用が比較的高い
  •    

地盤調査結果の見かた

結果が出ても何が書いてあるのかさっぱり分からない…。という方がほとんどだと思います。こちらでは、通常の戸建てに最も普及しているSWS試験の調査結果から、項目ごとに結果の見方を説明します。

SWS試験の調査結果サンプル

それぞれの項目がどのような事を表しているのか見てみましょう。

荷重

最大100kgの重さで、どのくらいの重りを乗せたかを表しています。100kgの重りでも沈まなければロッドを回転させて調べていきます。

半回転数Na

25cm重りを沈めるために1回転(180度)を1回としたロッドの回転数です。0の場合はロッドの回転が無くてもそのまま刺さって自沈する、軟弱地盤であると言えます。回転数が多いほど地盤が強いという結果になります。

荷重と半回転数のグラフ

1mあたりの半回転数と荷重をグラフ化したものです。グラフが右に長くなるほど強い地盤です。

推定柱状図

砂質土や粘性土などの推定土質は、盛土を示します。

換算N値

N値とは、地盤の硬軟を定量的に示す数値として最も利用されている数値の一つです。数値が高いほど強い地盤と言えます。

換算qa(KN/㎡)

N値とは、地盤の硬軟を定量的に示す数値として最も利用されている数値の一つです。数値が高いほど強い地盤と言えます。

調査結果のココがポイント

内容がなんとなく分かったところで、見ておきたいポイントは荷重と半回転数のグラフ換算N値です。

荷重と半回転数のグラフではこの様なことが分かります。

地盤の強さ、深さ

家を建てる時は家の基礎を作るために1m弱くらいは土を掘り返します。5m付近までに軟弱地盤がある場合は、地盤改良をして補強しておきたい結果となります。この表の結果は、緑の線を超えているので一定の地盤の強さがあり、地盤改良の必要性は少ないと考えられます。

換算N値ではこの様なことが分かります。

「N値」とは地盤を詳しく調べて出した地盤の硬さを数値化したものです。SWS試験は簡易的な地盤調査のため、その結果から換算したN値として換算N値と表記されます。住宅をはじめとした小規模な建物を建てる時には、換算N値で調査することが多いでしょう。地層の種類によって、N値が示す地盤の硬さは異なってくるので土質と合わせて判断していきます。

建物を建てるためのN値の目安をまとめるとこの様になります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
N値 硬軟 注意事項
粘性土 0~4 柔らかい 注意を要する軟弱地盤であり、精密な土質調査を行う必要がある。
5~14 中位~硬い 安定については大体問題ないが、沈下の可能性がある。
15以上 非常に硬い 安定および沈下の対象としなくてよいが、中小構造物の基礎地盤としては20以上が望ましい。
砂質土 0~10 ゆるい 沈下は短期的に終わるが考慮する必要があり、地震時に液状化の恐れがある。
10~30 中位~硬い 中小構造物の基礎地盤となり得る場合もあるが、一般的に不十分である。
30以上 大型構造物の基礎としては50以上(非常に密)が望ましい

引用:三和建設

この2点が理解できると、どんな地盤なのかがある程度分かりますし、不安な部分があったら質問もできますね。ボーリング調査や平板載荷試験などの他の調査ではもっと詳しい地盤調査結果が出ますので、より深く地盤を知りたい方はそちらをおすすめします。

自分で地盤を調べる方法

ここまで地盤調査の説明をしてきましたが、地盤の過去は自分で調べることもできるのです。その土地がどのように使われてきたのか、何があった場所だったのか知ることで地盤の強さの目安になります。地盤を調べる資料には、このようなものがあります。

国土地理院地図

インターネットで「国土地理院地図」を見れば、戦前までさかのぼって空中写真・衛星画像が確認できます。地盤の固い「台地」なのか、それとも軟弱地盤の「低地」なのかや、時代ごとにどのような土地の使われ方をしてきたのか調べることができます。

登記事項証明書

登記事項証明書とは、土地の情報が記載されたもので、過去にどのような用途で使われていたのかを見る事ができます。法務省で交付請求ができ、郵送やオンラインでも観覧できます。

地盤調査会社を調べておくと安心

一般的な地盤調査は、建築士や施工会社を通して、地盤調査会社に依頼します。調査結果によっては基礎の見直しや地盤改良が必要となるため、調査会社がどのような会社か調べておくと安心です。ポイントは以下の項目です

  • 「地盤品質判定士」や「住宅地盤主任技師」など専門家が在籍している
  • 調査会社に豊富な実績がある
  • 「地盤調査報告書」を発行してもらえるか
  • 調査不備などが起こった場合の補償制度はあるか

こちらは事前に分かることなので、地盤調査依頼の際に調べてみましょう。

地盤改良が必要と言われたら

軟弱地盤と認定された場合は、地盤改良が必要になります。地盤改良工事の内容は土地の状況によりさまざまです。提案された工法もインターネットなどで詳しい情報が分かるので、不安な場合は調べてみることをお勧めします。

地盤改良工法の選定基準

地盤調査の結果は必ずしも正しいとは言い切れない

調査後に「地盤改良が必要」と言われると、そのまま進めてしまうのが一般的です。しかし、地盤調査は100%正しいとは言い切れません。また、地盤改良が必要ない土地にも高い安全性を確保するために過剰な工事を勧める調査会社もあります。少しでも不安や疑問を感じたら、他の調査会社にセカンドオピニオンを依頼してみましょう。いくつかの結果を確認してから、最終的な判断を下すと良いでしょう。

強い地盤の土地を選ぶポイント

家を建てる土地の地盤が強いに越したことはありません。地盤改良が必要ない土地を選ぶことで、土地改良費が無くなり住宅の建設費に回すことも可能です。土地購入前に自分で地盤の強さを調べるポイントをご紹介します。

1.水に関係がある土地か

近くに水がたくさんある地域だと 地盤に水が含まれている可能性が高くなります。また地名に 沼、川、谷など、水に関係する文字が入っていると、その地域にはかつて水があったかもしれません。

2.道路の状況

道路のひび割れや変形、マンホールの蓋の浮きなどがみられる道路は地盤が弱いと予想されます。建築予定地近くの道路の状況を確認しておきましょう。

3.近所の建物

近所の家の基礎部分や塀が変形したりひびが入っていたりする場合は、地盤の変形などに原因がある可能性もあるので注意が必要です。

4.公開されている情報

災害史や古地図などを地域の資料館、図書館などで調べてみましょう。かつて水害があった情報や田んぼだったことなどを調べることができます。また、水害の予想は自治体のハザードマップで確認でき、その付近は軟弱地盤の可能性があります。

          

まとめ

  • 地盤調査は安全な住まいを建てるためには欠かせない工程
  • 地盤の強さはグラフと換算N値を見ると大体分かる
  • 強い地盤は購入前に調べられる
  •  

いかがでしたでしょうか?住宅の基礎となる地盤は、長く安全に住むためにとても重要な部分になります。自分で情報を収集することや、調査結果を理解することで、安心して理想の住まいを建てることができます。ぜひこちらの情報を参考になさってください。

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