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新築屋根選びの注意点とは?人気屋根材の性能&コストも徹底比較!

公開日 2022.06.14
更新日 2023.07.11
おしゃれな住宅住宅建築

家づくりにおいて、外観の印象を大きく左右するとても重要な屋根選び。デザイン面だけでなく、性能面でもさまざまな違いがあることをご存じですか?ここでは、屋根選びの際の注意点はもちろん、形状と屋根材の相性、人気の屋根材を徹底比較しランキング形式でご紹介します。

この記事のポイント
  • 屋根選びにおいての判断基準を知る
  • 人気の屋根材とその性能・価格・メンテナンスについて把握する
  • 屋根の形とその特性を知る

目次

1.新築の屋根選びで重要なこと

屋根を選ぶ際は、デザインや性能だけでなく、メンテナンス頻度やかかる費用、地域の特性も考慮しておく必要があります。

屋根の役割とは?

屋根の役割

雨風を防ぐ重要な役割を担っており、住宅の中で最も過酷な環境に晒されているのが屋根です。現在、家の造りに合わせた数種類の形状とさまざまな屋根材が存在し、耐久性はもちろん耐震性や断熱性、防音効果の高さなども求められるようになってきました。

屋根選びで注意すべき3つのこと

屋根は、その形状や材料によってメリット・デメリットが異なります。そのため、屋根選びでは下記の点に注意しましょう。


  • 地域の気候や生活環境を踏まえて、優先すべき性能を判断する
  • 価格は初期費用だけでなく、メンテナンスコストも踏まえて考える
  • 屋根材の耐用年数はあくまでも目安。気候や施工の仕方によっても変わるため、施工店とメーカー両方の保証体制をチェックする

家づくりの豆知識 ~地域で異なる 屋根に求める条件~

日本では、下記のように地域によって気候や災害の種類・頻度に差があるため、その土地の風土に合わせて屋根の形状や屋根材を選ぶことも重要です


  • 積雪の恐れがある地域
  • 台風直撃の恐れがある地域
  • 塩害のひどい地域
  • 山間部の湿気の多い地域

実際、上記の理由により家づくりにおいて屋根に制限を設けている自治体もあります。また、京都や沖縄などの観光地では気候だけでなく、街の景観を重視するために制限を設けているエリアも。地域による条件や注意点がないか、事前に住宅建設会社に確認しておくと良いでしょう。

2.人気屋根材ランキング&徹底比較!

メーカー独自の開発により、屋根材にはさまざまな種類が存在します。ここでは主要な屋根材5つをランキング形式にご紹介します。さらに、それぞれの価格や耐用年数、メリット・デメリットもまとめていますので、屋根材選びの参考にお役立てください。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
屋根材 1位 2位 3位 4位 5位
ガルバリウム スレート
(化粧スレート)
軽量瓦
(樹脂繊維セメント)
粘土瓦 アスファルト
シングル
ガルバリウム スレート スレート 粘土瓦 アスファルト
施工価格
(1㎡あたり)
6,000~9,000円
程度
4,500~8,000円
程度
12,000円
程度
8,000〜
12,000円
程度
5,000〜8,000円
程度
耐用年数 約20~30年 約20年 約30年 約50年以上 約10〜30年
重さ 4〜7kg/㎡ 21kg/㎡ 20kg/㎡ 38〜45kg/㎡ 12kg/㎡

「軽量瓦」画像引用元:建材トレンド-新素材の軽量屋根瓦「ROOGA(ルーガ)雅」
「アスファルトシングル」画像引用元:田島ルーフィング株式会社-SINGLEカタログ

1位 ガルバリウム

鋼板をアルミニウム・シリコン・亜鉛などでコーティングした「ガルバリウム」。そのため、金属の屋根材なのに錆びにくく、軽量です。さらに施工しやすく、デザインのバリエーションも多いため、今最も人気の屋根材です。既存の屋根の上に新しく屋根を重ねる「カバー工法」も可能で、リフォームにも適しています。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット ・金属製の屋根材の中では錆びにくい
・軽量素材で耐震性に優れている
・気密性が高く防水性に優れている
・耐火性に優れている
・割れない
デメリット ・傷がつきやすい(傷部分から錆びることがある)
・軽量なため強風で飛散する
・通気性が悪く浸水した際には注意が必要
・雨音が響く
・断熱性が低く、断熱材を敷くなどの対応が必要
メンテナンス 耐久性維持のため、10年程度で塗り替えが必要

2位 スレート(化粧スレート)

本来、スレートとは粘土板岩を使用した屋根材のことで、耐久性が高く非常に高価です。そのため、現在普及しているスレートのほとんどは、セメントと食物繊維を使い本来のスレートを模して造られた「化粧スレート」。従来のスレートは「天然スレート」と呼ばれるようになりました。化粧スレートは軽量で耐震性に優れ、施工しやすく、価格も抑えられることから、国内の新築住宅で多く使用されている屋根材です。しかし、材料自体に防水性や断熱性はなく、塗装で対応します。割れる頻度も高く、小まめなメンテナンスが必要です。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット ・軽量素材で耐震性に優れている
・耐火性に優れている
・施工しやすく、施工業者が多い
・初期費用を抑えられる
デメリット ・凍害に弱く寒冷地には向かない
・断熱性が低く、断熱材を敷くなどの対応が必要
・軽量なため強風で飛散する
・防水性が低く、塗装で防ぐ必要がある
・割れる
メンテナンス 塗装の防水機能が低下するため、5〜10年程度で塗り替えが必要

【天然スレートについて】
化粧スレートに比べてとても高価(約5倍の相場価格といわれています)で、重さもあるため、日本ではあまり普及していません。しかし、防火性や耐水性に優れ、メンテナンスがあまり要らないことから、近年人気が高まりつつあります。

3位 軽量瓦(樹脂繊維セメント)

瓦の重さを約半分に軽減し、割れにくくした「軽量瓦」。純和風デザインの家になじむことからリフォーム需要の高い屋根材でもあります。価格は高めですがランニングコストを抑えられるメリットがあります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット ・断熱性が高く、結露しにくい
・粘土瓦より軽く、割れにくい
・防水性が高く、雨音も気にならない
・耐火性に優れている
デメリット ・初期費用が高い
・紫外線により劣化する
・実績の浅い素材である
メンテナンス 30年程度で塗装が必要(点検は10年で行うことをおすすめ)

4位 粘土瓦(和瓦・洋瓦)

粘土を使用し高温で焼き上げた「粘土瓦」は、100年以上もつともいわれ屋根材の中で最も耐久性に優れた素材です。しかし、重量があることから耐震性は低く、瓦を固定せず桟木に引っ掛けている状態のため、雨風の強い地域には不向きな屋根材です。現在、重さを10〜30%程度軽減し、1枚ずつ瓦を固定した「防災瓦」の普及も増えています。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット ・耐久性が非常に高い
・断熱性が高く、結露しにくい
・防水性が高く、雨音も気にならない
・耐火性に優れている
デメリット ・初期費用が高い
・飛散の可能性はないが、重く落下すると危険
・地震の際、その重さから建物へ負荷がかかる
・落下や衝撃で割れる
メンテナンス 下地(漆喰部分)は10年程度でメンテナンスが必要

5位 アスファルトシングル

アメリカでNo1シェアを誇る「アスファルトシングル」。軽量で施工がしやすく、複雑な屋根の形状にも対応でき、表面に吹き付けた石粒の色によるカラーバリエーションも豊富です。基本性能が高い素材で、日本でも普及し始めています。しかし、まだ施工経験の多い業者が少ないため、施工の技術に差が出てしまうというデメリットもあります。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メリット ・柔らかい素材のため、割れやサビの心配がない
・非常に軽く、耐震性が高い
・防水シートと同じような構造で、防水性に優れている
・素材の特性から防音性や断熱性も高い
デメリット ・圧着や接着が不十分な場合、剥がれる可能性がある
・防火性は低い(ガラス繊維で補強した「グラスファイバーシングル」であれば、日本でも防火地域や準防火地域で使用が認められている)
・強風で飛散、またはめくれる可能性がある
・日本での施工実績が浅い
メンテナンス 接着剤による施工のため、10年ごとの点検が必要(高温多湿の地域では、表面にカビやコケが生える可能性もある)

家づくりの豆知識 ~屋根のメンテナンス時期~

屋根材の耐用年数=屋根全体の耐用年数ではありません。
屋根材の耐久性に関わらず、屋根材の下に敷かれる「ルーフィング(防水シート)」の持ちは20年程度。そのため、どの屋根材を使用したとしても、少なくとも20年ごとのメンテナンスは必須といえます。メンテナンスを怠り、「気づけば下地部分まで劣化していた。」なんてことになっては、建物自体にも負担がかかり、大掛かりな工事が必要となる場合がありますので、注意しましょう。

3.屋根の形状と施工事例

屋根の形状によってもその特性は異なりますので、現在日本で主流となっている4つの形状の特徴を相性の良い屋根材と合わせて解説します。同じ形状であっても素材や色合いで大きく印象を変えることができますので、施工事例も合わせてぜひ参考にしてみてください。

主な4つの形状

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
屋根形状 特徴
切妻(きりづま)屋根

切妻(きりづま)屋根
2枚の面が頂上部で合わさり、日本で最もポピュラーな三角形の屋根です。「三角屋根」と呼ばれることもあります。設計がしやすく、軒や袖などに使う素材も少ないため費用を抑えることができます。

【太陽光パネル使用の場合】
日照条件の良い南側へのパネル設置が理想。東西の屋根面でも2面に設置し、枚数を増やすことが可能。
<相性の良い屋根材>
・ガルバリウム
・スレート
・瓦
片流れ屋根

片流れ屋根
一枚の面を立てかけるような形で設置した屋根です。狭い敷地でも圧迫感なく収まり、モダンなデザインにも合い、メンテナンスにも手間がかからないことから人気の高い形状です。

【太陽光パネル使用の場合】
屋根が別れていないため、パネルの設置面積が十分取れる。
<相性の良い屋根材>
・ガルバリウム
・スレート
・アスファルトシングル
陸(ろくorりく)屋根

陸(ろくorりく)屋根
水平な屋根で、「フラットルーフ」と呼ばれています。屋上をバルコニーのように自由に活用することができ、近年人気が出ている形状ですが、水はけが悪く雨漏りしやすいという難点があります。

【太陽光パネル使用の場合】
方角の縛りはないが、防水処理や強風対策の必要性が高く、条件により施工が困難な場合もあるため、事前確認が必要。
<相性の良い屋根材>
木造住宅よりも鉄筋やコンクリート造の住宅に適しており、屋上の用途に合わせた素材が使用されます。
寄棟(よせむね)屋根

寄棟(よせむね)屋根
4枚の面を頂上で合わせ、立体的になっている屋根です。屋根の枚数が増えるため費用は少し高めですが、1枚1枚の面積が小さくなるため、雨や雪がたまりにくく、屋根の負担が分散されるのが特徴です。

【太陽光パネル使用の場合】
屋根が4面に別れるため、方角の確認が重要。三角形の太陽電池モジュールを活用し、発電量を増やすことも可能。
<相性の良い屋根材>
・ガルバリウム
・スレート

施工事例

切妻屋根

切妻屋根

画像引用元: M’s ASSSCIATES

建物を南に向けて配置し、できるだけ窓を大きく自然光だけでも過ごせるようにした住宅。外壁に使用しているガルバリウムの質感と木目とのコントラストが個性的です。



切妻屋根

画像引用元: M’s ASSSCIATES

シンプルなシルエットと四角い窓が印象的な和モダンの住宅。吹き抜けや大きなサッシを使用し、充分に日光を取り込めるよう設計されています。



切妻屋根

画像引用元: やまぜんホームズ

三角屋根と屋根材の色、窓との組み合わせ方から可愛らしい印象を与えてくれる、漆喰塗りのナチュラルな住宅です。

片流れ屋根

片流れ屋根

画像引用元: アーキホームライフ

2棟が並んでいる個性的な外観が目を引く住宅。中は吹き抜けのある開放的な空間になっており、土間スペースやインナーガレージなどおうち時間を充実させる造りになっています。



片流れ屋根

画像引用元: アーキホームライフ

中庭を囲うように緩やかな片流れ屋根を繋げたこちらの住宅は、室内へ日光をたっぷり取り入れられるよう設計され、その色合いからモダンな印象を与えています。



片流れ屋根

画像引用元: 黒須建設

片流れ屋根を重ねたデザインが印象的な平屋住宅。屋根材には瓦とガルバリウム鋼板の2種類を使用し、デザイン性と機能性の両方を追求しています。

陸屋根

陸屋根

画像引用元: SHOEIの家

美容室としても使用している店舗併用住宅。屋根や外壁、窓の色合いを統一し、おしゃれで印象的な建物になっています。



片流れ屋根

画像引用元: nattoku住宅

角をカットした斜めのラインがポイントのシンプルな外観。真っ白な塗り壁の美しさが際立ち、夜にはライトアップさせることで昼間とは違った表情を見せます。



片流れ屋根

画像引用元: HOME LABO

ムダを削ぎ落としたインパクト大の外観。黒のガルバリウム外壁は、光の当たり方で表情が変わり、すっきりと洗練された印象を与えます。

寄棟屋根

片流れ屋根

画像引用元: SHOEIの家

積雪の多い地域に適した寄棟屋根。シンプルな外観ですが、屋根と外壁の色にコントラストをつけ、個性的な印象を与えています。



片流れ屋根

画像引用元: SHOEIの家

寄棟屋根が美しい静かな佇いの平屋住宅。純和風なイメージの強い寄棟屋根ですが、屋根や外壁の素材とその色合いからモダンな印象を与えています。

その他の形状

他にも、日本家屋でよく用いられている瓦と相性の良い「入母屋屋根」「越屋根」、切妻屋根をベースに屋根を分散し強風の影響を受けにくくした「招き屋根」など、屋根にはさまざまな形状があります。気候状況や屋根材との相性、建物全体のイメージと合わせて自身の家づくりに適した形状を検討しましょう。


入母屋(いりもや)屋根

入母屋(いりもや)屋根
越(こし)屋根

越(こし)屋根
招き屋根

招き屋根

まとめ

屋根選びでの注意点、屋根材の種類や形状についていかがでしたか?屋根は外観の印象を大きく左右する部分であると同時に、住宅を守る重要な役割も担っています。デザイン性だけでなく、その性能やメリット・デメリットを十分理解した上で、自身の住宅にあった屋根を選びましょう。また、同じ屋根の形状であっても傾斜の角度、屋根材や色、外壁や窓の大きさ・位置によっても大きく印象が変わります。施工事例などを参考に、住宅建設会社へより具体的な外観イメージを伝えておくことも大切です。

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