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温水式床暖房の電気代は?エアコンとの比較や種類まとめ

公開日 2022.03.09
更新日 2023.06.16
床暖房

新築を検討中の方の中には床暖房の導入をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。足元からポカポカと部屋全体を暖めることができる床暖房ですが、実際の毎月の電気代が気になるところ。
今回は、床暖房として主流の温水式床暖房の電気代や種類、エアコンとの比較についてご紹介いたします。節約方法についてもご紹介いたしますので参考にしてみてください。

目次

温水式床暖房とは?

温水式床暖房とは?

画像引用元:温水床暖房の種類

温水式床暖房は、ガスまたは電気などで作った温水を床下のパイプに循環させて暖める仕組みの床暖房です。
温水式床暖房は床下を循環する温水が緩やかに床を暖めるため、長時間同じ場所に触れていても部分的に高温になりにくく※、床からの輻射熱で部屋全体がやわらかい暖かさになるのが特徴です。
※設定温度を44〜50℃程度に引き上げると低温やけどのリスクがあります。

温水式床暖房の種類とそれぞれの電気代

温水式床暖房の電気代は設置面積と温水を作る熱源の違いによって電気代が異なります。温水式床暖房の熱源の種類や仕組み、それぞれの電気代について詳しく見ていきましょう。

▼1ヶ月あたりの電気代(光熱費)/6~8畳、1日8時間稼働の場合
設定条件:外気温約7℃、室温約20℃、一定状態で30日運転
電気基本料金、ガス基本料金は含まれておりません。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
温水式床暖房の種類 1ヶ月あたりの電気代(光熱費)目安
ヒートポンプ(電気)式床暖房
※1
約3,900円
ガス温水式床暖房
※2
約1,915円
石油式(灯油式)温水床暖房
※3
約7,000円

※1)ヒートポンプ式床暖房:パナソニック 温水式床暖房「You温水」より
電力料金目安単価27円/kWh(税込)
※2)ガス温水式床暖房の計算式:
q(暖房負荷)= A(暖房面積:㎡)×Q(熱損失係数2.7・W/㎡・K・次世代省エネⅣ地域)×ΔT(室内と外気温の温度差)
暖房負荷÷11.277(低位発熱量)×145.31円(2022年1月東京ガス暖らんぷらん料金:1㎥)
※3)ボイラー燃焼効率80%
2022年1月24日時点の灯油の店頭小売価格、1リットル当たり110.4円で計算

ヒートポンプ(電気)式床暖房

ヒートポンプ(電気)式床暖房は、外から取り込んだ外気を圧縮して暖め、その熱を利用して温めた温水を床下のパイプに流すことで床を暖める仕組みの床暖房です。
ヒートポンプ(電気)式床暖房はオール電化にも対応しており、電気代が安くなる深夜に電力を使用してお湯を沸かすことにより、温水式床暖房の中でも電気代を安くできるのが特徴です。

ガス温水式床暖房

ガス温水式床暖房

画像引用元:広島ガス東部株式会社

ガス温水式床暖房とは、ガス給湯器で加熱した温水を床下のポンプに循環させることで床を暖める仕組みの床暖房です。
ガス温水式床暖房は給湯器で温水を沸かすため、温まるまでに時間がかかる床暖房の中でも比較的立ち上がりが早いことが特徴です。

石油式(灯油式)温水床暖房

石油式(灯油式)温水床暖房とは、石油(灯油)を熱源とする専用ボイラーで温めた温水を、床下のパイプに流す仕組みの床暖房です。
石油式(灯油式)の単価によってはランニングコストを抑えられるケースもあるようですが、定期的にボイラーのメンテナンスが必要なうえ、ボイラーによる燃焼音や臭いが発生するケースがあり、給油の手間などがかかります。

エアコンと温水式床暖房の電気代はどちらが安い?

温水式床暖房の種類や電気代・光熱費の目安が分かったところで、エアコンの電気代と比較していきましょう。
▼エアコン1ヶ月あたりの電気代/6畳、1日8時間稼働の場合

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
省エネエアコン※1 1ヶ月あたりの電気代目安
FUJITSU「ノクリア」AS-X22H ※2 約1,845円
Panasonic「エオリア」CS-221DFL ※3 約1,680円
日立「白くまくん」 RAS-X22M ※4 約1,830円

※1)省エネ基準達成率100%以上のエアコン
※2)FUJITSU「ノクリア」AS-X22Hの計算式:
運転開始時1時間 × 1時間あたり約40.5円 × 30日=1,215円
平常運転時7時間 × 1時間あたり約3円 × 30日=630円
※3)Panasonic「エオリア」CS-221DFLの計算式:
運転開始時1時間 × 1時間あたり約32.9円 × 30日=987円
平常運転時7時間 × 1時間あたり約3.3円 × 30日=693円
※4)日立「白くまくん」 RAS-X22Mの計算式:
運転開始時1時間 × 1時間あたり約40円 × 30日=1,200円
平常運転時7時間 × 1時間あたり約3円 × 30日=630円
いずれも電力料金目安単価27円/kWh(税込)で計算。

エアコンのスイッチをONにすると、最初の約1時間は稼働負荷がかかり電気代も高いことから、稼働8時間のうち、運転開始時1時間と平常運転時の7時間の電気代を分けて算出しております。

設定温度や使用環境、電力会社との契約によって異なりますが、省エネ基準100%を満たした6畳エアコンの電気代を見てみると、1日8時間稼働の場合1ヶ月(30日)あたりで約1,600円〜1,800円となっており、温水式床暖房の電気代よりも安くなります

しかし、エアコンの場合はエアコンは部屋の高い位置から温風を出すため、足元から暖める床暖房に比べ足元が寒く感じやすいというデメリットがあります。

エアコンの温度を1℃変えるだけで電気代は10〜13%変動すると言われています。
エアコンによる上方からの送風では、足元がなかなか暖まらないため体感温度は寒いと感じやすく、寒さを解消するためにエアコンの設定温度を上げてしまうとその分電気代も高くなってしまいます。
また、室温が5℃上がると湿度は約10%下がるため、体感温度を上げるために室温を20℃から25℃に引き上げると、湿度は40%から30%に下がってしまい、肌や喉が乾燥するリスクがあります。そのためエアコン利用時には湿度調整のための加湿器が必要です。

一方で床暖房は、床から足元を暖めるため室温が18〜20℃程度でも体感温度は十分暖かくなります。また、室温が20℃の場合、湿度は40%を保つことができるため加湿器が必要がありません。
室温が上がると湿度は下がり乾燥してしまいますが、暖かさを感じやすい床暖房は湿度が下がりにくいため、加湿器が無くても十分快適に過ごせるうえ肌や喉が乾燥するリスクがありません。

床暖房の電気代を抑えるには?

エアコンに比べ電気代を抑えられる床暖房ですが、使い方を工夫したり、暖房効率を高めることで月々の光熱費を抑える事ができます。床暖房の光熱費を節約する方法は次の通りです。

1.床暖房のON・OFFを繰り返さない

床暖房を使用する際に電気代がもっとも高くなるのは「スイッチをONにしてから部屋が暖まるまで」の立ち上げ時間となっており、起動の際に消費する電力量は長時間つけっぱなしにした際の消費電力より多いと言われています。
床暖房の電気代を節約するには、一度起動させたらつけっぱなしにして起動回数を減らすことが重要です。

2.省エネモードを活用する

床暖房の中には、起動時や運転時に消費電力を調節する省エネモードを搭載しているものもあります。「床暖房をつけっぱなしにしておくことに抵抗がある」という方は、長時間利用する場合には省エネモードにして適温をキープし光熱費を節約していくと良いでしょう。

3.外出時は20〜30分前にスイッチを切る

床暖房は、運転停止後に床が冷えるまでに20〜30分ほど時間がかかります。
外出時に床暖房を切りたい場合は、出掛ける直前にオフにすると無駄なエネルギーを消費してしまうため、外出20〜30分前を目安に床暖房を切ると電気代の節約になります。

4.なるべくカーペットや家具を置かない

暖房面をカーペットや家具で覆ってしまうと、暖房効率が下がるだけでなく熱がこもりフローリングを傷めてしまう場合があります。床暖房を効率良く使用し電気代を節約するには、床の上にカーペットや大型家具を置かないようにしましょう。

5.気密性・断熱性が高い家づくりをする

床暖房の暖房効率を高め月々の光熱費を抑えるためには、窓からの冷気を遮断し部屋の暖かさを保つ「高気密・高断熱」な家づくりが重要となります。
「高気密」とは建物の隙間を限りなく少なくして空気の出入りを最小限にすることを言い、「高断熱」とは外壁に温度が伝わりにくい素材を入れるなどして、室温が外気の温度に左右されないようにすることを言います。

冬

「高気密・高断熱」な家は、住宅全体が密閉・保温された空間になるため、暖房効率がUPします。そのためエネルギー消費が少なくなり、暖房にかかる光熱費を大幅に抑えることが可能です。

6.窓の断熱対策をする

床暖房の暖房効果を高めるには、気密性・断熱性を高めるだけでなく、窓からの冷気を遮断したり、室内の暖かい空気が逃げ出すのを防ぐ断熱対策が重要です。
多くの窓は気密性の高いサッシを使用していますが、壁ほどの厚みはなく断熱材は入っていません。また、冬場は58%の熱が窓から出入りしていると言われており、窓が大きく数が多い場合は冷気が入りやすく室内の熱が逃げやすいと言えます。
暖房効果を高めるには、樹脂サッシを断熱性の高いサッシやペアガラスへ交換したり、インナー窓の設置といった断熱対策が有効です。
窓の断熱対策で暖房効果を高めることにより、床暖房の設定温度を抑えても暖かさを実感しやすく、電気代の節約に繋がります。

このほか、ヒートポンプ式の場合は契約している電力会社の料金プランを、ガス式の場合は契約しているガス会社のガス使用プランを見直すこともお勧めします。 使用頻度の高い時間帯、低い時間帯を分析して、自分のライフスタイルに合った最適なプランに変更することで大幅な節約ができる場合もあります。

床暖房を導入できるメーカーまとめ

床暖房を導入可能なメーカーを種類別にまとめましたのでご参考ください。

下記の図は横にフリックして全体を見ることができます
メーカー 床暖房の種類 リフォーム対応
パナソニック ヒートポンプ(電気)式床暖房
ふりーほっと温水W(新築向け)
You温水(リフォーム向け)
コロナ ヒートポンプ(電気)式床暖房
コロナエコ暖フロア6.7(新築・リフォーム向け)
コロナエコ暖フロア4.5(新築・リフォーム向け)
コロナエコ暖フロア3.9(新築・リフォーム向け)
ダイキン ヒートポンプ(電気)式床暖房
ホッとエコフロア(新築・リフォーム向け)
三菱電機 ヒートポンプ(電気)式床暖房
エコヌクールピコ30<30畳タイプ>
エコヌクールピコ40<40畳タイプ>
エコヌクールピコ50<50畳タイプ>
エコヌクールレオ<70畳タイプ/室外ユニット2台>(すべて新築・リフォーム向け)
ツツミ ヒートポンプ(電気)式床暖房ECODANDAY(エコダンデー)
(新築・リフォーム向け)
ミサト ヒートポンプ(電気)式床暖房ENEFLOW(エネフロー)
(新築・リフォーム向け)
リンナイ ガス温水式床暖房
床ほっとE(新築・リフォーム向け)
HFMシリーズ(新築・リフォーム向け)
床ほっと6・6(リフォーム向け)
畳用(ITMシリーズ)(リフォーム向け)
東京ガス ガス温水式床暖房
NOOK(新築・リフォーム向け)
はやわざ(リフォーム向け)
ノーリツ ガス温水式床暖房
高効率温水暖房マット 厚さ12mmマットタイプ MD-XE(新築・リフォーム向け)
高効率温水暖房マット 厚さ9mmマットタイプ MD-XD(新築・リフォーム向け)
コロナ 石油式(灯油式)温水床暖房
エコフィール(新築・リフォーム向け)
暖房専用ボイラー(新築・リフォーム向け)
ツインヒーター(新築・リフォーム向け)
エコミナミ 電気・ガス・石油式いずれの熱源にも対応可能
遠赤外線温水式床暖房ゆかだんパオ
・パオスリム(新築・リフォーム向け)
・パオ暖爵(新築・リフォーム向け)
・パオダンディ(リフォーム向け)
進展工業 電気・ガス・石油式いずれの熱源にも対応可能
ひなたぼっこ(新築向け)
ひなたぼっこ床下施工(リフォーム向け)

まとめ

今回は、床暖房として主流の温水式床暖房の電気代や種類、エアコンとの比較、節約方法についてご紹介しました。
ガスまたは電気などで作った温水を床下のパイプに循環させて暖める仕組みの温水式床暖房は、高温やけどなどの心配がなく部屋全体がやわらかい暖かさに包まれる床暖房です。
温水式床暖房の電気代は6〜8畳サイズで1日8時間稼働の場合、1ヶ月あたり種類により異なりますが約1,915円〜7,000円程度となっています。
エアコンに比べ足元からポカポカと暖かいので室温以上に暖かさを感じやすく、加湿器不要で快適な湿度を保てる床暖房ですが、暖房効率をさらに高めるには「高機密・高断熱」な家づくりが重要です。
せっかく床暖房を導入しても、住宅基礎の機密性・断熱性が低いと暖房効果が下がってしまいます。
床暖房の導入を検討されている方は、ぜひ一度、住宅の機密性・断熱性を高めることも検討してみてはいかがでしょうか。

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